最初に気づいたのは、いつだったか。
ああ、気持ち悪いなってなんとなく肌でそう感じてそしたらあれよあれよと悪化した。
目線から、付きまといへ。投函物。洗濯物は外に干せなくなったし留守の間に入られてないかな、盗聴器とか監視カメラとか、そんな刑事ドラマみたいなものがなにひとつありませんように。
現実はあっさりしたものだ。
そういう怪しい機械の類はなーんにもないけど、えぐいくらいのメッセージは来るようになった。
私を好きだと宣うくせに自分のことは一切語らない。私を一方的に見て私にどす黒い感情垂れ流してきて気持ち悪い。
それは恋とか愛とかの綺麗なものじゃなくて単なるエゴの塊で、たまたま私が条件に合うだけ。迷惑な話だ。
でも気づいた。
私わかるんだ、あまなつのことならなんでもわかる。配信以外だって全部見てるしあまなつがどこ住んでるかも知ってるし昨日何食べたかもどこで買い物してるかも今日出かける予定だって全部全部全部全部見てるだって大好きなんだもん私のすべてなんだから知りたいと思うのは当然のことで私の純粋な応援で愛だってあまなつだってきっと知ってくれてるはずなんだ。
あまなつが誰かを好きなんだって気づいとき焦ったし死にたかった。どうしようって思っただって私そんなあまなつ見たことない知らないそんなあまなつ知らないどの配信でもそんなこと言わんないし、そんなこともしなくて、そんな顔絶対にしなくてだってあまなつは私たちのアイドルだから恋なんかしないだろうなって思ってて急にそんな顔されたから動揺しちゃって。
でもそんなところも私しか知らないんだって、脳が震えた。
ああ、可愛い。そうか恋してるあまなつってこんなんなんだじゃあ全力で応援しなきゃあまなつの恋がうまくいかないなんてことあっていいはずないもんねだから応援してあげたい相手のことも調べ上げてあまなつに教えてあげなくちゃ。
笑っちゃった。
だってあまなつの好きな男、私のストーカーしてたから。
うける、やばい。
こんなあっさりつながっちゃうんだ。
あの男、あまなつに好かれてるくせになんで私のほうに来たんだろうまじで意味わかんないゆるせない死んでほしいけどそんなことしたらあまなつが悲しむからだめだ。全部あまなつが幸せになるようにしなきゃだってこの世界中をあまなつが幸せにしてくれたんだからあまなつはそれより幸せにならなきゃいけないのこいつがいればあまなつのまだ知らない顔が見れる顔しれないんだから徹底的に、徹底的、に、やらないと。
それで、
それで。
それから。