【夜光】推し活のススメ

星野夜空

 オタク女子大生。仕出し屋でアルバイトしており、月光と仁が属する組織がその店の常連だった。
 一年ほど監禁され、徐々に外へ連れ出されるが単独行動は禁じられている。

白夜月光

 若白髪。金色の瞳。背中に彫り物がある。イケメンの部類だが目付が凶悪。
 一人称は『俺/僕』
 本名は不明。大企業の社長に擬態したとある組織の若頭。不審者に襲われそうになった夜空を助け、そのまま自宅に監禁している。ヤンデレに持たせてはいけないスキル(高い知能や身体能力、金や権力など)は習得済み。周囲からは【これで愛想と性格が良ければいいのに】と嘆かれている。

風仁

 両肩に彫り物がある。強面で屈強な体格。
 本名は#風見仁__かざみじん__#。古物商に擬態したアングラ組織の幹部。

春嵐

 仁の異父兄弟。風仁は父親似、春嵐は母親似なので似ていない。当初は風仁のお気に入りとして監視していたが、現在は個人的に夜空の事を気に入っている。容姿は柔和だが、性格は苛烈。

黍嵐

 春嵐の部下という名のパシリ。春嵐にいびられるが最近は夜空が庇ってくれるので嬉しい。

東雲

 糸目の青年。
 月光の部下。正体は潜入捜査中の警察官。愛人になっている夜空に同情しつつ、彼女とのやりとりで癒しを求める。

春宵

 喫茶店の店長に擬態したアングラ組織の幹部。
 優美な女性に見えるが、男性。
 占いが得意で凶兆は絶対当たる。本名不明。

夏風

 屈強な体格の女性。金髪碧眼。
 風仁の部下。体術に秀でており、通称「ターミネーターレディ」

空風

 肉感的な美女。褐色肌。巨乳。
 風俗店オーナー。風仁とは大人の仲。有能な色男が好みだが月光は対象外。
「聞いてよスピカちゃん!」

 花屋で働いている友人曰く、毎朝決まった時間に通り過ぎる人間が居た。遠目から見てもブランド物だろうと見当がつくビジネススーツにビジネスバッグ。元はスポーツをしていたのか、ベリーショートの黒髪でがっちりとした体格の男性。年は二十代後半だろうか。それだけなら大して印象に残らないのだが、花屋だけでなく、この通りの店の誰もが覚えてしまう特徴があった。
 人形である。布製の、幼稚園か保育園に通っている年頃の女の子が持っていそうな少女人形を、腕に大事に抱えている。友人は彼を店先以外で見かけた事はないが、信号待ちの時に話しかけているとか、ファミレスで店員に二人ですと言い切ったとか、単に人形を人形(モノ)として扱っていない事は確からしい。
 正直、不気味な事この上ない。それでも暴れたり騒いだりするなど物理的に有害な行動はほとんど起こさないので、周囲は見ないふりしているようだ。人形の事を揶揄った人間に暴力を振るった事があるらしいが、それは絡んだ方にも非があるだろう。
 そんな、あまりいい意味ではない有名人が、来店した。何と、人形は持っていなかった。相変わらず威圧感たっぷりだが、複数の女性を夢中にさせそうな、キリっとしたイケメンである。

「花束作ってほしいんですけど。誕生日用の」
「か、かしこまりました。メッセージカードのサービスがございますが、ご利用になりますか?」
「はい」

 オレンジバラ。黄色のガーベラ。カスミ草の花。包装紙はラメ入りの白にリボンも花と同じビタミンカラー。派手過ぎず大きすぎず、家に飾りやすいだろう手頃なサイズ。よっぽど花が嫌いか花粉症でない限り、一度くらい貰ってみたいだろう。

「……かのぴっぴか奥さんか知らないけど、毎日人形抱えて出勤してたって知ってんのかなぁ」

 スピカは適度に相槌を打ちながら、今月末は親友の誕生日がある事に思いを馳せる。彼女と音信不通になってから、もう一年が経つ事を。
「ダメです」

 小柄な犬か猫でも抱き上げるかのような気軽さで寝室に連れ戻された。一か八か、睡眠薬を入れた麻婆豆腐を冷蔵庫に入れておいたら食べてくれた。薬の量が足りなかったか。激辛とはいえ、異物に気づくかもしれないと心配で加減が解らなかった。離してと手足を無茶苦茶に振り回しても分厚い腕の胸の間に抑え込まれてしまう。

「外は危ないから」

 とんとんと背中を優しく叩く、夜泣きする赤子をあやすような所作が鬱陶しい。背丈も手足も倍以上、暴力を行使されれば自分の命はあっという間に風前之灯だ。それでも我慢ならない、何が保護だ安全だ、私はペットなんかじゃない! 何度叫んだか解らない言葉を吐いて、夜空の意識はぷつりと暗転した。

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