琴葉
内気で人見知り。読書が趣味の高校2年生。葉月のことは姉のように慕っている。葉月にも読みやすいようにと、雑誌や漫画をすすめることがある

葉月
明るくて誰とでも仲良くできる高校3年生。人見知りの琴葉のことを妹のように大事にしている

謎の生徒 霜花
異世界の図書室に住んでいる謎多き人物。鈴のついたブレスレットをしている。普段は霜花(そうか)を名乗っている
11月10日、この日は葉月と琴葉が通っている高校の文化祭。
「今年は、文化祭が中止にならなくてよかったね、お姉ちゃん」
「そうだね。まあ、展示しかできなかったのは残念だけど…」
2人はいろんなクラスの展示を見た後、図書室で少し休憩をしながら話していた。
「あれ?」
「どうしたの?琴…え?」
琴葉は周りを見て、違和感を覚えた。二人は、いつの間にか違う世界の図書室に閉じ込められていた。
二人が戸惑っていると、どこかから鈴の音が聞こえてきた。
「君たちもここに閉じ込められたの?」
その声のした方を見てみると、鈴のついたブレスレットをしている中性的な人がいた。
「あっうん、私たち気づいたらここにいて。君はここの事何か知っているの?」
「うん。ここにはずっと一人でいるから」
「私は葉月。こっちが琴葉、よろしくね」
「わたしは、霜花(そうか)っていうの。よろしく、琴葉ちゃん、葉月ちゃん」
二人は、霜花という人は今まで会ったことも見かけたこともなかった。でも、その時は最近転校してきたんだろうなと思うことにした。
「でも、ここってなんだか物語の世界みたいだね」
葉月は、琴葉は本当に物語が好きだなと思いながら二人にこの世界の図書室を調べてみようと言った。まずは、琴葉が最近よく読んでいるシェイクスピアの本がある棚のところに行った。『ロミオとジュリエット』の本にミソハギの花が挟まれていた。次に、葉月にも読みやすいような文庫本がたくさん並んでいる棚に向かった。『わたしの幸せな結婚』に桜の枝が挟まれていた。霜花が好きな百人一首の本が置いてある棚では『ひまわりは恋の形』にひまわりが挟んであった。お互い見たいところは終わったのでカウンターのところに行ってみた。そこには花言葉の本が置いてあった。その本には、メモ用紙が挟まっていてそれを読んでみた。
『楽しく準備をしたい。
しにたくない。
もう見に行けない。
うさぎのぬいぐるみをつくりたかった。
よき友人と一緒に行きたかった。
文章を書きたい。
化けてでもここにいたい。
祭りを君と一緒に。』
と書かれていた。
「琴葉ちゃん、これってどういうことなんだろうね」
琴葉と葉月は、数分間2人で一緒に考えた。そして、妹の方が思い付いた。
「お姉ちゃん、これたぶん1つの文の最初の文字を読むんだと思うよ」
「えっと、『楽しもうよ文化祭』?」
葉月がそれを読んだことで、2人はいつもの見慣れた図書室に戻っていた。
「あれ?霜花は?」
「あれ、ほんとだ。どこに行ったんだろう…」

2人は、文化祭が終わった後に先生に聞いてみた。
霜花という人は何年か前に何かがあって、文化祭の前にいなくなってしまったらしい。今でも探している人がいるのだとか。

葉月と琴葉は、あの不思議な図書室と、謎の生徒、霜花のことは二人だけの秘密にして、これからもずっと友達でいようと思った。
この物語は私が高校三年生の時に文化祭で書いた物語です。元々、私は人見知りで言葉で何かを伝えるということが苦手です。琴葉ちゃんはそんな私に重ねました。
葉月ちゃんは私の中学三年生の時に同じクラスだったある女の子がモデルになっています。その子とは班が同じで明るくてしっかりしているので人見知りする私にとってはとても眩しい存在で憧れの存在です。今でも、たまに連絡を取り合って仲良くさせてもらっています。葉月ちゃんのそんな明るい性格はその子が「物語の中に出てきたら」「近所に住んでいたら」などと考えて出来た存在です。
霜花は、私が抱える心の闇を具現化させたものです。私は、小学生の頃誰にも言えない苦しみを抱えていました。そんな言葉では表せないような苦しみを少しでも和らげたいという気持ちで出来たイマジナリーフレンドのようなものです。そしていろんな物語に触れたことで少しずつ心にも余裕が出来て今ではそれを完全にとまではいかなくても、受け入れられるようになりました。霜花はそんな人の苦しみに寄り添えるようなキャラになってもらえたらなと思っています。

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