「これで終わりっ!」

 翌日、私たちは優奈の部屋で、昨日のドッキリの動画編集を行なっていた。事前に優奈の部屋に仕掛けていた監視カメラの動画を使いながら、面白くなるように字幕やBGMをセットしていった。また、ドッキリをする前に撮っておいた企画の説明やドッキリ後のプロモーションも動画の前後につける。

 動画は前半後半に分けて、私と優奈のそれぞれのチャンネルで一つずつ上げるようにする。これによって優奈のチャンネル登録者が私のところへ来ることを、私は少し期待していた。

「それにしても、昨日は本当にびっくりしたよ。まさか覚醒剤が見つかるとはね」
「びっくりしたでしょ。まさか優奈にそんなドッキリが来るなんて流石に思わないよね」
「全くもって、そう。それに、まさか紗江がドッキリの仕掛け人だって言うのも流石に思わなかったよ。なんで受けることにしたの?」

 動画編集で凝った体をほぐすために腕で揉んだり、体を伸縮させたりした。
 それから席を立ち、自分のバッグの中を漁った。

「インモラルを隠すためには、私たちがモラルの中にいることを示しておく必要があるからね。これぞ『イン・モラル』。なんちって!」

 私は陽気に冗談を言いながら、バックに入っていた『ビニール袋』を取り出した。
 この時はまだ、嘘だったはずの盗聴器が本当に仕掛けられていたことを私は知るはずもなかった。