「もうご飯できてるわよー」

お母さんのそんな声を耳にしながら私は
ただひたすらと目を見開いて壁を見つめていた。

「どうゆうこと…」

全く状況を把握できなかった。
「あっ、スマホ!」
私は──花羽 紗南(はなばね さな)は慌てて枕元にあるスマホを持ち、画面をつける。

「嘘、でしょ…」

そこに書かれている日付は2025年7月8日 10:29
と表示されていた。
私が事故にあった日は2025年8月23日の11時頃だった。


私は夏休みの始まった日に戻っていた。


なんでどうして…?
私は事故にあって…それで…

紗南は一度落ち着こうと呼吸を整える。
ふぅ、と一度息を吐いた。