暑い。
もう夏休みも終わりかけようとしている中でも
太陽は容赦なく私たちを照らし続けている。

「あら、おつかい?」
「はい!そうです!」
「お疲れ様、暑いから気をつけてね」

近隣に住む優しい松江さんに声をかけられて
明るく返事をする。

信号を待っているあいだ、スマホでお母さんに連絡する。

"今から帰るね!"

送信ボタンを押してスマホをポケットにしまう。
顔を上げると同時に信号が青になり進み始める。
今日の夜ご飯は何かな~なんて考えていた時だった。
とても一瞬の出来事だった。
急に視界に光が見えて、自分でも何が起きたのかを把握するのに時間がかかった。

私は車にぶつかった。事故にあった。

周りにいた人が酷い出血だ、とか早く救急車呼んで!など
様々な言葉が飛び交うのを感じられた。
その中で私は死を覚悟した。
だんだん暑さも感じなくなり、瞼もさっきまでは
少しだけど空いていたがそれも儘ならなくなった。

私の短い16年間の人生もこの一瞬で終わり?
そんなの嫌だよ。
ねぇ神様。私はそんな酷い行いをしましたか?
勉強もできるだけ頑張ったつもりだし、
お母さんのお手伝いだって積極的にやっていた。
なのになんで?
まだできてないことだった沢山あるのに。

スタボの新作だって飲みたいし、
好きな漫画の実写映画だってみたい。

それに…


まだ颯に想いを伝えられてない。



せめて死ぬんだったら少し時間を下さい。
やれてないことをやらせてください。
私は青春を味わいたいです。
だからどうか、どうか。



その後目を覚まして意識がはっきりした時は
家のベットで目を覚ましたところだった。