4月も終わろうとしているころ、クラスは6月の文化祭の話で盛り上がっていた。
文化祭実行委員の真子が教壇に立ち意見をまとめていた。
真子は頼まれると断れないタイプで文化祭実行委員も誰もやりたがらないから先生にお願いされたらしい。
何のお店をやるか、たこ焼き、クレープ、フルーツジュースいろんな意見が出ていたがそういうのには興味がない俺は机に突っ伏して話し合いが終わるまで寝ていた。
俺には文化祭よりも先にゴールデンウィークの遠征がある。頭の中は遠征のことばかりだった。
というのもこの遠征は、5月末のインターハイ前最後の遠征。毎日2～3試合メンバーを入れ替えながら行われる。
うちの高校はこの遠征で毎年インターハイのメンバーが選ばれ、大会までの練習が組まれる。
つまり、この遠征でミスをすればメンバーに選ばれることはない。

文化祭の話し合いが終わり、担任が締めて部活に行く準備をしていたところ真子に声をかけられた。

「なんであんた寝てんのよ！」
担任が話し終えるなりすぐに真子が俺のそばまで近づいてきた。
俺は「文化祭なんて興味ないんだよ」とそっけなく返す。

「じゃあ勝手に店の当番決めてもいいよね？」
真子は基本的に優しくあまり強引に物事を進めることはないが俺にだけは違う。
小さいころから一緒にいたからか真子は俺にだけは少し強引に来る時がある。
考えるのもめんどくさかったので「めんどくさくない役割にしてくれよ？」と自分の役割は真子に任せた。
真子はニヤリとしながら「任せて！」と言い離れていった。