カランコロン

 「いらっしゃい」

 扉を開けて中に入ると、笑顔が素敵な若いお姉さんが迎えてくれた。

 「あら、陽凪ちゃん。今日は友達も一緒?」
 「んーん、さっき道端で会った人。話したいことあったから連れてきた。奥の席借りて良い?」
 「どうぞ、ごゆっくり。あとで飲み物持ってくわね。」
 「ありがと。じゃ、君こっち。」

 ここ、私のいとこがやってる店でさー、と陽凪さんに誘導されて奥の方の席に座る。向かい側に陽凪さんも腰を下ろしたのを確認して、口を開く。

 「あの・・・」
 「あのさ・・・」

 陽凪さんと話す瞬間が被る。とりあえず黙っとこ。