「遅れてごめん、まじで海斗話長すぎて遅くなった」


わたしは待ち合わせしていた紫音に謝る。


「全然大丈夫!ほんと海斗って話長いよね」


渡辺紫音。私が入っているダンスサークルの同期だ。

おっとりしているように見える紫音は案外強い子で、
高校の時から始めたダンスを上手くなりたいとたくさん習いに行って、今ではたまにバックダンサーとしてイベントに出たりもしている。


「ガチでごめんなんか飲み物とか奢るよ、とりあえず入ろっか!」

「ほんとに大丈夫!私もちょっと遅れたし」

そう言いながら2人で大学の近くのカフェに入った。


「それでさ、結局海斗みきちゃんと付き合いそうなんだって」

運ばれてきた四角い形のおしゃれなピザを切りながら喋る。

「そっか良かったね海斗!今度こそ続きますように〜」


ほんとにそう思ってるのかどうかはよく分からないが、紫音はまるで心の底からそう思っているように喋る。それが彼女のいいところでもある。


「それね」


そんなこと適当に言ってみる。言葉に重みがある彼女引き換えわたしはどうだろう、適当なことを言ってちょうどいい塩梅で踊ってそんな日々をまた寂しいと感じる自分がいる