なにも、アンドロイドを持っていないのはわたしだけじゃない。
ごく少数だけれど、クラスにもアンドロイドを所持していない人たちはいる。だけどそれは皆一様に三軍と呼ばれる、スクールカーストの最下層に身を置く人たちばかりだった。
そう、この世界では、この単純な世界では。
アンドロイドを所持していない人は、それ相応の待遇を受けていた。
率直に言うと、人権が軽視される。
たとえば、自分のアンドロイドすら買えないほどに家が貧しいのか、とか。世の中の常識に囚われない自分がかっこいいと思っているのか、とか。アンドロイド非所有者にはそんなマイナスのイメージばかりが付き纏う。
アンドロイドとは無縁の人生でも成功している人だっているし、アンドロイドを非所有でも下に見られない人だってたしかに存在する。だけどそれはいわゆる天才と呼ばれるほんの一部の人だけで、ほとんどの人がそうはならなかった。もちろん、わたしも例に漏れずといったところ。