「美凰さまが燕王殿下に求婚されたのですよ!誇らしすぎることですよ!」

「阿蘭?誰にも言わないでって言ったわよね?それに、私は秀快に嫁がないから」

「そうは言っても、昔から親しい燕王殿下が誰か他の女人を娶ったら寂しくないの?」

徐昭儀が心配そうに問いかけてくる。

「それは……別に、寂しくないです」





そのころの長春宮はというと、―――

「燕王殿下の秀女選抜がされて、ようやく碽貴妃さまが肩の荷が降りるでございましょう。こんなに賢くお育ちになられたのは、碽貴妃さまの教育の賜物ですわ」

「ええ、全くですわ。燕王殿下に嫁げる娘は果報者(かほうもの)ですわ」

「ご立派な皇子さまをお産みになられた碽貴妃さまが羨ましいですわ」

秀女選抜に参加する女子の母親たちが碽貴妃に()びを売り、女子たちは王妃の座を得ようとしている。
だが、その中に恋しい人はいない。

(なぜ来てくれないのだ、美凰)

「そろそろ、始めてはどう?」

「もう少し、ゆっくり決めたく思います」