秀女たちをどの位に封じるか決めるのが秀女選抜であり、王妃には宝玉をちりばめた如意が、良妃以下の妃妾には身分に応じた意匠(いしょう)手燭(うでわ)下賜(かし)される。

「ええ、知っているわ。それがどうしたの?」

知っているに決まっている。ずっと、胸が焼き付けられるような痛みに耐えながら、秀快に嫁ぐ方たちは誰なのだろうかと考えていたからだ。

なぜ痛みを感じるのか分からない。

弟のような存在だった秀快が妻を娶り、成長していくのが寂しいからなのだろうか。

「俺の秀女選抜に来てくれないか?」

「はい?」

「初めて会った頃から好きだった。何回も会うにつれて、そなたが類いまれな才女で人に接するときの優しい一面を知り、さらに愛おしくなったんだ」

「秀快⁉ いけませんよ?私のような平凡な女子(おなご)より、美しくて、もっと素敵な方がいらっしゃいます」

何を馬鹿なことを言うのだ、という非難の目を向ける。
しかし、そんなことはお構いなしに頬を撫でてきて、甘く耳元で(ささや)いてくる。

「俺はそなたが欲しいんだ、美凰」

愛おしそうに目を細めて言う秀快に、ドキッとする。

秀快が(まと)う色香にのせられてしまいそうになるが、なんとか平静を保とうとする。

惑わされては駄目だ、と叱咤(しった)する。