母妃(ははうえ)、その言い方は人に礼を言う態度ではありませんよ」

「秀快、勝手に話に入ってこないでちょうだい」

いつの間に居たのか、秀快が顔を綻ばせながら近くまで来る。

「母妃、今回は美凰のおかげで盈容が殉葬されずに済んだのですから、褒美を取らせるべきですよ」

「そうね、不本意ながら田舎娘に助けてもらったんですものね。私の宝飾品の中から選ん――」

「ちょうど私の秀女選抜を中断していますし、王妃にしましょう」

母親の声を(さえぎ)り、笑顔で言う秀快だが、反論できないほどの圧を母親に向けている。

啞然としていた碽貴妃だが、状況を理解をしたのか怒りを爆発させる。

「な、何を馬鹿げたことを言っているの!?こんな田舎娘を王妃にするだなんて許せるわけないわ!」

「母妃、美凰を田舎娘と言って(さげす)んでいますが、美凰は重臣(じゅうしん)の娘ですよ。なぜ、私の王妃にすることができないのですか?」

「それはそなたの望みでしょ!?王妃にするほどのことをしたわけじゃないのだから、私の宝飾品をもらうだけでも徐氏にとっては名誉なことだわ!」

「王妃にするほどではない?盈容を救ったのは美凰ですよ?」

「そ、それは……」

秀快の言い分にたじろぐ碽貴妃は、美凰に視線を向け睨みつける。数分間、睨み合いは続き、緊迫した空気が流れる。

「とにかく私は美凰を王妃として(めと)りますので――」

「ならぬ!」