「ここにいたのか、美凰」
どこか安心するような声に振り返る。
そこにいたのは洪武帝の第四皇子で幼馴染でもある、朱 棣だった。
彼との出会いは、八年前の八歳の時。彼は十歳だった。
ある日、洪武帝の妃嬪だった叔母の徐昭儀に会いに来ていた頃、後宮でうっかり迷ってしまったのだ。
『どうしましょ……叔母上に早く会いに行かないと心配させちゃう……!』
泣きそうになるのを、私は徐家の長女なのだから、と必死に言い聞かせて堪える。
『うわぁっっ!』
とりあえず行かなければ、と思いながら歩きだすと誰かにぶつかってしまった。
服装からして皇子であることが分かる。
『申し訳ございません、殿下』
慌てて謝罪を述べ、跪こうとした――が、できなかった。殿下が私の腕をつかんでいるのだ。
『あ、あのっ!』
『そなた、鳳凰なのか……?』
彼はどこか魂が抜かれたような様子をしながら聞いてきた。
鳳凰、それは、この地の古くから伝わる伝説の鳥、神の使いのことである。
どこか安心するような声に振り返る。
そこにいたのは洪武帝の第四皇子で幼馴染でもある、朱 棣だった。
彼との出会いは、八年前の八歳の時。彼は十歳だった。
ある日、洪武帝の妃嬪だった叔母の徐昭儀に会いに来ていた頃、後宮でうっかり迷ってしまったのだ。
『どうしましょ……叔母上に早く会いに行かないと心配させちゃう……!』
泣きそうになるのを、私は徐家の長女なのだから、と必死に言い聞かせて堪える。
『うわぁっっ!』
とりあえず行かなければ、と思いながら歩きだすと誰かにぶつかってしまった。
服装からして皇子であることが分かる。
『申し訳ございません、殿下』
慌てて謝罪を述べ、跪こうとした――が、できなかった。殿下が私の腕をつかんでいるのだ。
『あ、あのっ!』
『そなた、鳳凰なのか……?』
彼はどこか魂が抜かれたような様子をしながら聞いてきた。
鳳凰、それは、この地の古くから伝わる伝説の鳥、神の使いのことである。