「…全部話すと、こんな感じかな。今でも、時々思う。私は、何で生きているのだろうなって。社会に適合できず、毎日時間を貪って。そんな私が生きる価値と意味って、何だろう。道徳的に、困っている人を助けましょうって言われているけれど、どうしていじめや戦争、差別はなくならないのだろう。」
言っていることは支離滅裂で、けれど一度口から出した思いは止まらずに、まるで懺悔をするように話し続けた。
「生きることに、何の意味があるのだろう。」
「意味がないと、生きていてはいけないのかな。」
黙って私の話を聞いていたあやめは、静かに問うた。
「生まれてきたことに、意味なんかない。それは、生きていく中で見つけることだもの。」
「生きていく中で、見つけられなかったら。私は、どうしたら…。」
「癒喜。先のことなんて、誰にもわからない。例えわかっていたとしても、神様の気まぐれで変わってしまうことだってある。」
「私は、未来を見ることが、…生きることが怖い。」
「未来を見る必要なんてない。大切なのは、今をどんな風に乗り越えていくかだよ。」
「乗り、越える…?」
「辛いのに、それを押し込める必要なんかどこにもない。私は、自ら命を絶つことを否定も肯定もしない。けれど、命を絶ちたいくらい辛いのなら、無理して外の世界を見たくていい。自分の、自分だけの世界を創って、そこに引きこもればいい。それを逃げだと後ろ指を指す人間もいるけれど、自分だけの世界はいつか、思いもよらない形で自分を救ってくれる。」