そして今度は私がターゲット。
 わざと私の前で悪口を言ったり、遊びに誘わないようにしたり。
 私はいつもそれを笑って流して。悪口なんて、いじめなんて慣れているでしょ、って自分に言い聞かせて。
 けど、心の中で自分が悪いのかなって、責めてしまうんだ。
 だんだん笑えなくなって。こんな自分が嫌いで嫌いで仕方がない。
 だけど……。
 もう、やだ。
 維那と冬麦のこともう友達だなんて思えない。
 これ以上、自分が誰かに傷つけられるのも嫌だ。自分で自分のこと傷つけるのも嫌だ。
 他にもなにも悪いことしてない人に、維那と冬麦はその人の目の前で悪口を言っていた。もちろん私と仲の良い友達にも。
 この二人と一緒にいると、私と朱璃も悪口を言ってるって勘違いされちゃう。悪口のせいで傷ついている人もたくさんいる。
 でも、「やめよう」なんて言えない。
 言ったらもっとひどいことになるって、もっとひどいことされるって知ってるから。
 そこで勇気を出して、一歩踏み出してみたら何かが変わるのかな。強い自分になれるのかな。最近いつもそんなことをうじうじ考えてしまう。
 だから、学校に行きたくないんだ。
「あぁ、クリスマスパーティーね。どうしようかなぁ」
 一応、考えているフリをする。
 本当は私はあんまり乗り気じゃない。でも、行かないともう誘われないかもしれない、そう思うと怖くなる。
 そうこうしてる間に、朱璃と冬麦が登校してきた。
 こっちに来ると、冬麦は維那と私の悪口を言い始めた。
「ウザッ。キモッ」
 言われ放題だ。
 気にしないようにと思っても、聞こえてくるとやっぱり傷つく。
 そりゃ、行く気にならないでしょ。
 考えているフリを続けながら、周りを見回す。もうほとんどの人が登校している。
 目の端に時計が映った。そろそろ先生が来る時間だ。
「もう時間だから、後は休み時間にしよう」
 そう言って別れた。
 今日も頑張って耐えよう。
 明日も、明後日も。ずっと耐え続けよう。
 私は強く手を握った。