エピローグ
 時が過ぎ、私は中学生になった。
「おはよう。涼晴くん」
 涼晴くんとの関係はいまだに変わらない。
 けど、一つ言えることがある。
 今は心から幸せだって、そう思えるようになった。
 それはきっと、涼晴くんやみんなのおかげ。
 辛くてため込んでた気持ちを声に出して言えたから。
 一人じゃないよって教えてくれたから。
 前を向いて生きていけることを教えてくれたから。
「おはよう。心音」
 あの時、私はどうすれば良かったんだろう。
 今でも、時々そう考える。
 それでも、過去は変えられないから。
 未来を変えるために今の自分が頑張るしか方法はないから。
 だから、頑張るよ。
 これから、もっと辛いことが待っているのかもしれない。
 私は空を見上げた。
 そこには空一面に広がる青空と、まぶしすぎるくらいにかがやく太陽があった。
『大丈夫。頑張って、行っておいで』
 涼晴くんの声が聞こえた気がした。
「なんか言った?」
「なんも言ってないけど?」
 大丈夫。
 私は自分の太陽を見つけることができたから。
 私はまだ見ぬ世界へ一歩踏み出した。
 今はどんなに辛くても、未来の自分のために明日に向かって走り続けよう。
 あの時は、あんなに苦しかったのに、隣に君がいるだけで。
 少しだけ息がしやすくなった気がした。
〈終わり〉