事の発端はクリスマスパーティーだった。
 でも、その前から私へのいじめはあった。
 なにか一つでも気に食わないことがあると、容赦なくその子を苦しめる。
 誰にも見えないところで。
 私は助けられなかった。
 あの子を。
 いじめられていることを知っていながら、自分がさらに傷つくことを恐れて、手を差し伸べることもしなかった。
 私はひどい人間だ。
 だから私は何をされてもよかった。
 いじめられた子が、また前を向いて生きていけますようにと、ただそれだけを、それだけを願っていた。
 それでも、私のせいで緋緒里と純玲に傷ついてほしくなかった。
 それで私は逃げたんだ。
 逃げた、逃げたんだ。
 でも私へのいじめは止まらなくて、終わることはなくて。
 影で言われていた私の悪口は次第に目の前で言われるように。
 ウザいとか、キモいとか、もっとたくさん。
 怖くて傷ついてばっかりで、逃げられなくて。
 毎日、毎日絶望しかなくて。
 あぁ、あの子もこんな気持ちだったんだなって知ってはじめて後悔した。