そのまま、十分くらいたったころ。
「大丈夫!?」
 急に聞こえてきた声にビックリして私は顔を上げた。
「純玲」
 純玲だった。
「何があったの?」
 そう聞かれ、私はさっき書いたメモを見せた。
 純玲が来てくれた安心感で、私はまた泣いてしまった。
「大丈夫。大丈夫だよ」
「うん」
 その言葉にはたくさんの思いが詰まっていると思った。
「でも、私がいなければ、純玲と緋緒里を巻き込むこともなかった。……私がいなければっ、二人が傷つくことなんてなかったっ。……本当にごめん、ごめんね」
 泣きながら話す。
「大丈夫だよ。私と緋緒里は心音と仲良くしたくて、話したくて、友達でいたくて、そばにいるんだよ。したくなかったら、いないよっ」
 その言葉が返ってきて嬉しさで胸がいっぱいになった。
 必要としてくれる人がいる。
 こんな私でも必要としてくれる人がいる。
 それが、こんなにも嬉しいことだったなんて。
 知らなかった、気付かなかった、その言葉を聞くまでは。
「うん。ありがとう。ありがとう」
 何回言っても足りないよ。
「ちょっと待って、緋緒里呼んでくる」
 それだけを残して教室に戻った純玲。
 私は自分の太陽を見つけられる気がした。
 そのあと、駆けつけてくれた緋緒里にも心配されて。
 下校中、涼晴くんにも心配されて。
 みんなにたくさん迷惑をかけていることは分かっているのに、幸せだった。
 心の中があたたかかった。
 私は誰かを傷つける事だけはもうしないと心に決めた。