「心音!お前どこに行っていた!」
 こうなることは予想がついたはずなのに。
 「……、……。」
 「どこに行っていたかって聞いてんだよ!」
 涙があふれだした。
 やっぱり戻らなきゃよかった。
 「お前のせいでどれだけの人に迷惑がかかったか分かるか?これ以上、迷惑になることするな!」
 「……っ。」
 声が、でない。
 耳鳴りがひどい。
 頭痛がする。
 そして、胸が苦しい、痛い。
 誰かっ、助けてっ。
 声にならない叫び声が体中に響く。
 「先生、授業が。」
 突然聞こえてきたその声。
 「涼晴、くん。」
 やっと声が出た。
 涼晴くんの方を見ると、頷いてくれた。
 また、助けてくれたんだね。
 「あっ、本当だ。」
 先生は黒板に戻って行った。