長い長い一日がようやく終わった。
 靴箱で靴を履き替えて、待つ。
 涼晴くんと一緒に帰るためだ。
 毎日、登下校の時間だけは楽しくって、辛いことを全部忘れられる。
 この十何分のためだけに、私は学校で色々なことに耐えて。そのためだけに、ただ生きている。
 あと何回学校に行けば、何回苦しめば、終わるの?
 校舎から出てくるたくさんの人たちに、心の中でそう問いかける。いや、本当は自分に問いかけているんだろう。
 「わっ!」
 「うわっ!……ビックリした~。やめてよ、もうっ。」
 とか言いながら、本当は嬉しかったりするの。
 彼は話し上手でもあり、聞き上手でもある。私の相談も親身になって聞いてくれる。
 だから、いじめられてることも知ってる。それでも、私と仲良くしてくれる彼は本当に良い人なんだ。もちろん、緋緒里と純玲、朱璃もね。心配して、優しい言葉をかけてくれて。
 私が隣にいて、友達でいて良いのかなって時々思う。
 今日もいつものようにどうでもいい話をしながら帰った。