なぁ、俺、ダメかもしんない。
 俺、お前の夢、叶えられないかもしれない。今なら、少しだけ、お前の気持ちが分かるよ。
 明日が見えないって、ホントに、怖いよな。不安だよな。もっと早くに分かり合えたらよかったのにな。今になってお前の気持ちが少し分かる。
 引き出しにしまってある、録音機を出す。
 なぁ、笑愛。俺、繋げられるかな。お前が好きだと言ってくれた、名前通りに。
 なぁ、笑愛。お前は俺の中で生きているよ。もちろん羅月の中にも。ずっと生きているよ。
 なぁ、死ぬってこんなに怖いんだな。やっぱり、死ぬのって、怖い。お前はすごいな。勇気があって。お前はいつもすごかった。綺麗だった。
『すごくないよ。私は、繋君と違って生きる勇気がなかった。私よりも君のほうがすごいよ』
 バッと後ろを向く。誰かの声が、鼓膜を揺さぶった気がした。
『大丈夫。怖くないよ。明日は必ず来るんだから。君の明日はまた輝くよ』
 声が、聞こえた気がした。あいつの声が。