あいつが亡くなって、一週間後くらいに遺書のほかに、日記帳と録音機が家に届けられた。
 笑愛、俺、お前の遺書と日記を読んで、ずっと思ったことがある。そしていいか。
――お前は自分の価値を知らな過ぎだっての!
 おい、お前は、自分が死んだら誰かが泣くとは思はなかったのかよ。お前は自分が死んだら誰ひとり悲しまないとでも思っていたのかよ。お前は、お前が死んだら、お前と誰かの過去がなくなるとでも思っていたのかよ。
 お前が一人死んで、何人が悲しんだと思う?何人が後悔したと思う?
 少なくても俺は泣いたぞ。俺はお前が自殺して言葉じゃ表せないくらい、悲しかった。辛かった。苦しかった。痛かった。後悔した。
 すごく、すごく、後悔した。たくさん泣いた。
 お前の質問では、泣かないと思う、なんて言ったけれど、ずっと泣いていたぞ。
 お前が唯一友人だと認めた羅月も、お前が死んで、学校に三週間も来なかったぞ。お前が死んで、すごく泣いていたぞ。三嘴も、クラスメイトも、ショックを受けて、休んだ奴が結構いた。
 お前が俺の遺書に書いたお前の前の学校に行ってきたよ。
 麗名さんにも、千代さんにも、篠田を含むお前の幼馴染達にも、お前をなんだかんだ慕っていた元クラスメイトの三嘴にも、お前が好きだった月原先生にも、お前が嫌っていた金子先生にも。手紙を渡して、お前が亡くなったことを言ったよ。
 皆、泣いていた。特に麗名さんと月原先生。もうギャン泣き。それで、月原先生こう言っていたよ。
「笑愛、頑張ったね」って。
 お前の求めていた言葉を言っていたぞ。
 金子先生なんて放心状態。宮本さんもね。お前の幼馴染達は何か知っているような顔していたよ。でも、やっぱり泣いていた。お前の元クラスメイト達は放心状態の奴と泣いているやつの二つに分かれたよ。
「あいつ、やっぱり死んだんだな」って言っていたよ。お前の幼馴染達は。
 だからな、お前は、愛されていたんだよ。みんなに。
 みんな、お前の笑顔に、綺麗さに救われていたんだよ。
 お前は、月原先生の言われた通りに、お前のお父さんの教え通りに生きたじゃないか。