何が何だかよく分からない。血だらけのあいつを羅月が抱えている。羅月があいつの名前を叫ぶ。そして俺も、あいつの名を呼ぶ。
 他に何を言ったかなんて覚えちゃいない。覚えているのは、雲の間から覗いた空の色が、俺があいつを止めたときの空の色と同じだったこと。