SIDE羅月心優
 彼女が落ちてからの私の記憶はあやふやなものだった。
 けれど、一つだけ覚えているものがあった。
 それは、空の色。
 雷をも伴う大雨だったというのに彼女が落ちてすぐに、小雨になって、重い雲の間から光が差し込んできたこと。そして、空が、碧かったこと。
 いつの間にか私は救急車に乗せられて、何故か沢海君も乗っていた。
「どうして自殺したんだよ……」
 沢海の言葉が、笑愛の応急処置で騒がしかった救急車の中で響いた。