温もりがある。
 笑ってくれる人がいる。
 愛されていなくても、心から友達だと思える人がいる。大切だと思える人がいる。
 誰かが一緒にいてくれる。
 それに、誰かが、助けてくれた。
 それに、誰かが、優しさをくれた。
 それに、誰かが、欲しかった言葉をかけてくれた。
 それに、誰かが、気付いてくれた。
 それに、誰かが、心配してくれた。
 それに、誰かが、分かろうとしてくれた。
 だから、生きてみたくなった。息苦しい世界でも、生き苦しい世界でも。
 自殺願望だろうが希死念慮だろうが、そんなのどうでもいい。
 少しだけ、息がしやすくなった気がしたから。生きやすくなった気がしたから。
 単純な理由だと分かっている。自分勝手だということも分かっている。
 分かっているけれど、楽しかった。うれしかった。
 でも、私は、生きることよりも、死ぬこと、を選ぶ。
 いつか、誰かを殺してしまうから。
 これから先、身にふりかかる不運に先手を打つだけ。
 だから、死ぬことを選ぶのは苦じゃない。生きることのほうが怖いから。
 ずっと、そう思っていたから。
 ずっと、死にたいと思っていたから。
 だから、大丈夫。怖くない。目をつぶれば何も怖くない。
 だって、君達の温もりが感じられるから。
『神様へ
 私を生きさせてくれてありがとう。
 心優と繋君と出会わせてくれてありがとう。
 そして、最後に、死ぬ勇気をくれて、ありがとう。
 短い時間だったけれど、楽しかったです。
 繋君、つなげてくれて、ありがとう。
 心優、一緒にいてくれて、ありがとう。
 月原先生、ごめんなさい。
 いつかまた、出会えますように。
 さようなら。』
 自分がどれほど周りに迷惑をかけて、これからまた迷惑をかけることは分かっている。分かっている。
 でも私は"ごめんなさい"よりも、"ありがとう"を遺したい。