それからの私は、まるで死ぬ前の猫のように旅をした。
 どうせ死ぬのだから、貯金も全部使わなくちゃならない。
 いつかの場所の夏の葉は、照りつける太陽の光を見事に反射していた。風光る空の下で出来事を思い出しながら静かに目を閉じる。
 どうして、こんなことになっちゃったんだろうなぁ、とあの日の羅月さんのように嗤った。
 その日の空は‘あの日’の空の色に似ていた。