SIDE羅月心優
夏休みに入ってから二週間くらいたった頃に、私は母親と大喧嘩した。
母親とは、施設から帰ってきてから、殆ど口を利いていなかった。口を利くときは、喧嘩するときだけで、他では喋らなかった。
「痛いよ、痛いから、やめてよ。なんでやめてくれないの。私、何もやってないでしょ。何で手を出すわけ?人を傷つけるなって教わらなかった?」
精一杯の抵抗で、母親を思いっきり睨む。
「せっかく産んでやったのに自傷なんて、どういうご身分なの、このクソ娘。目立ちたくてやっているの?それとも悲劇のヒロイン気取り?ねぇ、蹲って睨んでないで、答えなさいよ」
母親は、すぐ傍にあった、ビール瓶で私を殴る。
その衝撃で、桜希の言葉の意味を理解した。
どうして、母親のことが嫌いなのか。
どうして、母親のことを、死んじゃえと思うのか。
どうして、死んでしまいたいのか。
唐突に理解した。桜希の、あの表情の意味を。
頭がジンジンと痛むのは、殴られたからなのかは分からない。ただ願うのは。
夏休みに入ってから二週間くらいたった頃に、私は母親と大喧嘩した。
母親とは、施設から帰ってきてから、殆ど口を利いていなかった。口を利くときは、喧嘩するときだけで、他では喋らなかった。
「痛いよ、痛いから、やめてよ。なんでやめてくれないの。私、何もやってないでしょ。何で手を出すわけ?人を傷つけるなって教わらなかった?」
精一杯の抵抗で、母親を思いっきり睨む。
「せっかく産んでやったのに自傷なんて、どういうご身分なの、このクソ娘。目立ちたくてやっているの?それとも悲劇のヒロイン気取り?ねぇ、蹲って睨んでないで、答えなさいよ」
母親は、すぐ傍にあった、ビール瓶で私を殴る。
その衝撃で、桜希の言葉の意味を理解した。
どうして、母親のことが嫌いなのか。
どうして、母親のことを、死んじゃえと思うのか。
どうして、死んでしまいたいのか。
唐突に理解した。桜希の、あの表情の意味を。
頭がジンジンと痛むのは、殴られたからなのかは分からない。ただ願うのは。