二年生に進級する日。私は、久しぶりにあの娘の後ろ姿を見た。
 呼吸が浅くなって、小刻みに震えている、羅月心優の姿を。
 あの日は、何も魂胆もなく、ただ、話しかけて学校をさぼった。けれども、始業式の日は違う。
 あの娘が三嘴さんのいじめられていたことは、彼女が自宅警備員と化してから知った。だから、始業式の日に話しかけた。三嘴さんにいじめられているから、助ける、という口実を使って。私の‘アレ’を見届けてほしいという下心で。
 だから、助けたい、だとか、学校に来てほしい、だとか、そんな親切心で話しかけたわけではない。