『9月2日月曜日
 今日から沢海君に十三問の質問をする。私にはどれくらいの価値があるかを調べるためにね。今日は死にたい。』
『9月5日木曜日
 死ぬのが怖い。でも、生きるのも怖い。どうしたら正しく生きることができるの?どうしたら月原先生に褒められるの?どうやって死ねばいい?しにたい。死にたいよ。でも、死ねない。怖いから。死ぬのが怖い。生きるのが怖い。じゃあ、私はどうすればいい?』
『9月7日土曜日
 私たちは、生きていることが奇跡とかいうけれど、私はそうは思わない。生まれてくること自体が奇跡で、10^39個の恒星につき生命の発生は一回って言うけど、どうなのかな。私はただの偶然としか思えない。奇跡じゃなくて、ただの偶然。偶然生まれてきただけ。私はそうとしか思えない。でないと納得できないから。そして今日も、生きたくない。』
『9月10日火曜日
 死にたいって、言いたい。生きたいって言いたい。声に、出したい。我慢したくない。最後のお願いだよ。でも、やっぱり本当はよく分からない。だから、死んだら楽になれるかな』
『9月11日水曜日
 神様、私に勇気をください。死ぬ勇気を。早くこんな世界にサヨナラを言いたい』
『9月12日木曜日
 あと少し、あと少しで、解放されるから。この辛さから、この苦しみから、この悲しみから、この虚無感から、この感情から、すべてから私は解放されるから。あと少し、あと少し頑張ればいい。あと一日だけ繋げばいい。今日と明日を繋ぐだけ。あと少し、あと少しで死ねるから。あと少しで、楽になれるから。』
『9月13日金曜日
 もう足搔くのは終わりにするよ。生きたいって足搔くのも。死にたくないって足搔くのも。もうすべてを終わりにする。私の人生も。別に生きたって仕方がないから。どうせ、私が生きていたって役に立たないし、迷惑かけるだけだしね。本当は死ぬのが怖いよ。けれど、生きるのも怖い。だから、聞きたいことがある。どうして死んじゃいけないのか。母も、教師も、精神科医の人もカウンセラーも、誰もが自殺を阻止する。みんな、確証もないことを口にする。生きていればいいことがあるだとか、死後の世界は苦しいかもしれないだとか。どうして自殺はしちゃいけないことになっているのかが分からない。誰も教えてくれない。私達みたいな希死念慮にとっては、死後の世界とかはどうでもいいもの。自殺した人は弱いと言われても、どうでもいい。だって、死んじゃえばもう感情なんか消えていくんだから。生きていればいいことがあるって、ただの幻想。責任感の欠片もない言葉だよね。死んじゃダメなんて言葉は、もう軽くて一円玉並みに軽くなってしまったんだ。なのに、それでも大人は死ぬことを、自殺することを阻止する。理由を、教えてほしい。それだけ。それだけが死ぬ前の心残り。そして、沢海君に質問する答えを聞かないことも心残りだ。ねぇ、神様?私、死ねるかな?神様は私に死ぬ勇気をくれる?でも、もうそんなことはどうでもいい。そろそろ時間だから。

 逝って来ます、そして、さようなら。』