『7月7日日曜日
沢海君と、あの場所で会った。シャボン玉を吹いているところを思いっきり見られちゃった。まあ、いいか。もう彼には泣き顔を見られているんだし。それでね、彼と、時間を交換した。私の残り長い人生と、彼の残り短い人生とを。少しでも生きたい人が生きられる世界になりますようにって祈りながら。』
『7月23日火曜日
沢海君、助けてほしい。苦しい。辛い。はやく、見つけてほしい。はやく、死にたいよ。』
『7月28日日曜日
今日、母にアンタって子は非情な娘ねって言われた。昔は優しくて、人の心を考えるような子だったのに、って。それも泣かれた。人の心をよく考えなさいって。人の心。人の心を考えて、昔は行動していた。だけど、人の心を考えて行動しても、必ず傷つけられるから。ふとした瞬間に、死ね、とか、言われるから。だったら、人の心を考えて行動しなくてもいいかなって思うでしょ?だから、心を閉じた。真心を捨てた。だって、人の心を優先すればするほど、こっちがボロボロになるだけだから。だって、人を信じたりしても裏切られるだけでしょ?誰かが吐く、死ね、という言葉は、本当の意味の、死ね、ではないのだろうと思う。だけど、私は、そういう意味での死ねと捉えるから傷つかなくちゃならないんだ。私が人の心を考えて行動しなきゃならないのなら、死ね、とか言う人も同じだと思う。でも、どうせ、そういう人たちは、そういうことを考えないから、私もそういう人になった。人の心を考えない、非情な人に。でも、表面上は違う。慈悲があるように見せるよ。だって表面上ならどうとでもなるからね。
私は非情な娘だから、自殺する。そう言えば、母も納得するはずでしょ?だから、何も言わない。もうどうだっていいから。人を思って泣く、なんて馬鹿らしくて仕方がない。』