駅の改札前にあるファストフード店で、最近発売されたばかりのハンバーグが三段重ねになっている期間限定メニューを注文する。

明らかなオーバーカロリーを前面に押し出すこのメニューは、とにかく腹を満たせられれば満足する俺達のような人間の為に存在しているんだと思う。

俺が三段バーガーの単品を頼んでいたら、大和が横からいつものフライドポテトも頼まないのかと訊いてきた。

素っ気なく金が無いって返事をすると、大和は俺と同じメニューにスモールサイズのフライドポテト二つ注文し、カウンター席に着いてからその一つを俺に渡した。

俺は申し訳ないと思いながらもそれを受け取る。厚意はしっかり受け取っておくのが誠意ってものだ。


「大和ってさ、俺とつるんでていいの?」

「何だよ、いきなり」


溢れた食べかすを律儀に集めている大和に訊いてみる。


「大和って優等生じゃん、俺、基本頭悪いし、寝てばっかだし、俺といて得することあんのかなって。もっとできる奴といた方が良いと思うけど」

「まあ、たしかに寝てばっかだし、お前」

「もしかして、ダメな俺をそばに置いて引き立て役に利用しているとか……」

「お前は面倒臭い彼女か」


昔から物事を悪いように考えてしまう癖があるみたいで、だいたい意味不明なことを言っては相手を困惑させてしまう。


「あー、でも利用してるってのはあるかも」


ストレートにそう言ってくれると、逆に気まずくならずに済むから本当に助かる。俺にとって大和は気兼ねなく話すことができる唯一の人間だ。


「でも、悪い意味じゃなくてさ」

「……え?」

「お前、本当は頭良いだろ」

「凪は多分、一つのことをあらゆる方向から見ようとする癖があるんだよ。まあ、簡単に言うと考えすぎってことだ。でも、そんなお前と一緒にいると、いろいろ発見があって面白いよ。だから、俺は凪の考え方も取り入れようと思ってる。そういう意味で利用している」

「そ、そっか……」


褒められているような気がして、頭がちょっとむず痒くなった。

慣れない痒さを中和するために、俺は劣等感を感じるのも忘れない。