涙の理由は知らなくていい

もしクラスで清水と何気なく話すことができれば、つまらない学校生活が少しだけまともになるかもしれない。清水も少しだけ楽しいって思ってくれたら。

お花畑な淡い考えだと思う。

けれど、もし清水も同じことを思っていたら。勇気を持って均衡を崩しても良いかな。


「おはようって言うくらいならさ……」

「ふふっ。なにそれ」

「だめ?」

「任せる」


教室の窓側の一番後ろの席。振り向けばいつでもそこに清水はいる。

今までもそうだった。

何も変わらない。

何も変わらないはずなのに。

俺は案外単純な性格をしているみたいで、あんなに嫌だった夏休み明けが少しだけ楽しみになった。



【完】