「そういえば、何を手伝えばいいの?」
そう言うと、ジミズは少し恥ずかしそうに答えた。
「今度の日曜日に、ここで古物市があるんだけど、その出店の準備をして欲しいの」
「古物市って?」
「空き家で回収された食器や家具の販売会。私、そこで家具や食器に絵を描いて販売するお店をするんだ」
「清水さん、絵が上手いもんね」
「そ、そんなことないよ」
謙遜しているけれど、自分の絵を描いて販売するなんて、よっぽど自信があるやつにしかできない。
ジミズは意外と受け答えはしっかりするし、見た目はかなり地味なのに考えはしっかり主張する。案外自信家なのかもしれない。
「でも、俺は絵なんて描けないけど」
「大丈夫。こっち来て」
言われるまま一階のカフェの奥にある勝手口に行く。
扉を開けると、湿った空気が押し寄せカビ臭い匂いが鼻を突いた。