さらに数日――

｢あのさあ、根本的な方針を間違ってないか｣
｢どういうこと｣
｢女性にとって大事なのは愛とかムードとかストーリーなのよ。
いきなり裸だけ撮ってもしょうがないんじゃないの｣
｢なるほど一理ある｣
｢男性需要もあるかもしれないけど、男性は合法的に入れるし見れるからあんまり意味がない。
需要ないものいくら仕入れてもどうにもならんぞ｣

それが俺のたどり着いた結論だ。
すなわち根本的な方針を改める必要がある。

｢確かに男性更衣室覗きたいとか思わんもんなあ｣
｢できれば事前に気づいてほしかったわ｣
｢ごめんね｣
｢まあいいよ｣

で、ここからが本題だ。

｢これじゃ埒が明かないからさ、ちょっと俺男性の性的魅力を追求するために女性向けAVの現場で働いてみようと思う｣
｢マジか。思い切ったね｣
｢性ってのは根源的欲求だからな。なんだかんだ興味が湧いてくるし商売に活用もしやすいだろう｣
｢じゃあ出向ということで。立派なAV屋になって戻ってくるのを待ってるよ｣

こうして俺はスリの下僕からAV屋に転身した。