今日は火曜日。
 昨日は広瀬君に話しかけようとして失敗しちゃって、夕方はいろいろあったけど、歩ちゃんとの電話のお陰で私は今日の朝は
昨日のことを引きずらないで気持ちよく起きられた。
 そして、私は今日、”もう一回頑張って話しかけよう”という気持ちが消えないうちにまた広瀬君に話しかけようと決めた。
 でも今日は昨日とは違って少し落ち着いて居られている気がする。
 それは昨日思いっきり緊張して、私はその緊張になれたからだろうか。
 まあ、何にしても焦らないでいられると自分自身もしっかりやりこなせそうで安心した。

 いつも通りの感じで学校に着き教室に行くと、今日は珍しくもう広瀬君は学校に来ていた。
 私が机にリュックを置くと、なぜか広瀬君はこっちに向かって歩いてきた。
 いきなりだったし、シュミレーションになかったことだったから朝までの安心な気持ちは一気に消え、驚きと緊張と恐怖で
私は完全にパニック状態になってしまった。
 一方、広瀬君は私が戸惑っている間もどんどん近づいてきている。
『いっそのこと前のように逃げてしまおうか』
 私がついにそんなことを思い始めたとき、広瀬君が
「優笑、ちょっといいか?」
 と声をかけてきた。
「え、あ、うん。」
 自分がこの場から逃げないためであり、広瀬君とも話すチャンスができるように私は願いながら答えた。
 すると、広瀬君からの言葉は予想外だった。
「昨日のことなんだけど・・・、ごめん。」
 私はてっきり、
『”もうあんまり関わりに来ないで”みたいなことを自分から言いに来たくせに、なんで昨日俺の子と呼んだの?
 おかしくない!?』
 とか、
『昨日なんかいようとしたよね?
 どしたの?』
 みたいに言われると思っていたから、「ごめん。」と謝られたのだ。
『本当は、口が少し悪いだけで歩ちゃんの言っていたように優しい人なのかもしれないな。』
 と思い、”まだ心の中のどこかに広瀬君も私の悪口を陰で言っているかもしれない。”という気持ちが消えた。
 私は
「えっと・・・、
 私の声に気づいてないのかと思ってた。」
 そう広瀬君に行った。
 広瀬君は眉を少し下げて、
「そんなわけないじゃん。
 しっかり聞こえてたよ!
 でもあの時、俺の友達がいて声かけたらたまたま優笑とかぶっちゃって、俺が友達に声かけたから”やっぱ何でもない!”
って取り消せなくて、友達のほう行っちゃったんだよね、ほんとごめん。
 嫌な思いさせちゃったよね・・・?」
「ううん、大丈夫。私にとっては謝ってくれただけでうれしいからさ。
 私のほうこそ、心のどこかで広瀬君のことを勝手に解釈して悪く言ってたから、ごめん。」
「ううん。そう解釈するのは当たり前だよ。
 だからもう謝らないで?」
「分かった。」
「うん。それで・・・あの時、何を言おうとしてたの?」
「あーーー、えっと・・・」
 そんな話になるだろうと途中から思ってきていたものの、いざそのことを聞いて、シュミレーションと違った状況だから
なんと答えればいいのかわからない。
 ・・・でも、少なくともこの場では話せない。
 話の内容が大事なこと過ぎるから。
 クラスの人に聞かれたら終わり。
 絶対にどんどん広まっていく。
 だから、”今はちょっと難しいので・・・”と言おうとした、でもなんていえばいい?
 困っていると、 広瀬君は
「大丈夫?」
 と首を傾けて私のほうを見ていた。
 やばい・・・、待たせてる。
 そう思うと余計に”急いで答えないと”と焦ってしまう。
 すると、シュミレーションしていた中に今使えそうな言葉を見つけた。

 ―――――もしも、
『ごめん、これからちょっと予定入ってて厳しいかも、』
 みたいに言われたら、
『わかった!むしろ私のほうこそ急に話しかけてごめん!』
 としっかり話す。そして、
『今度、周りに人がいなくて話す時間ありそうなとき、話しかけてもらってもいいかな。
 次は絶対に逃げないから!』
 っていって、話を今度できるようにする!
 という、『今時間ある?』と聞いて無理そうだった時のシュミレーションだ。
 私が今使えそうだと感じたのは、その中の
『今度、周りに人がいなくて話す時間ありそうなとき、話しかけてもらってもいいかな。』
 という部分。
 うん。きっとこの場に適してる!
 そう考え、私は広瀬君に
「今度、周りに人がいなくて話す時間ありそうなとき、話しかけてもらってもいいかな。」
 と、シュミレーション通りに話した。
 すると、しっかりわかってくれたみたいで、
「おう。分かった。
 そしたらまた今度な。」
 と言って去って行ってくれた。
 自分のピンチがこんな風に救われるとは思ってもなかったから、あの時、本当にシュミレーションをしっかりしておいて
よかったなと過去の自分をほめた。
 そして今回のことで
『自分のシュミレーションの中のことが別の場合にも活用することができる』
 ということを知り、新たな自信になった。
 だから、今のことに関しては本当に、話しかけてくれた広瀬君のおかげだし、私自身も逃げずに頑張って残ったことで
いい経験につながったから、よかったと思った。
「また、いつかは分からないけど、広瀬君が話しかけてきたら今みたいに頑張ろう!」
 私はそう口にし、気合を入れた。

 部活動の時間になった。
 相変わらず、今までは周りにずっと人がいる感じだったけど、さっきよりかは人が少ない。
 だけど、広瀬君は来そうにない。
 ・・・きっと、私の時のように帰りの時に話そうとしているのだろう。
 そう思い、部活に集中した。
 ―――――はずだった。
 私は、集中してたのにもかかわらず、先輩のボールを頭の斜めの位置にぶつけてしまった。
「イタッ・・・。」
 打った瞬間、当たったところに激痛が走り倒れてしまった。
 なにこれ・・・、ものすごく頭が痛い。
 だけど、同学年みんなは私のことが嫌いだからだと思う。
 誰も「大丈夫?」と言ってくれなかった。
 でも、私は心底どうでもよかった。
 だけど、先輩は気遣ってくれて、
「ごめん、ボール当てちゃった、、
 頭、どう?くらくらする?」
 と色々聞いてくれた。
 私は
「大丈夫なんですけど、ちょっと頭が痛いので保健室に行きます。
 先輩は気にしないで部活やっててください。」
 と返し、体育館を後にした。
 ”コンコンッ”とドアをたたいてから開け
「失礼します。バレー部の七香です。」
 といった。
「あら、どうしたの?」
「先輩のスパイクが頭に当たっちゃって、そのあと一瞬倒れて、起き上がったんですけど頭が痛かったので
一応保健室に来ました。」
「あらあら。ここにきて見せてみなさい。」
「分かりました。」
 そうして私は先生に診てもらった。
「うん。病院に行くほど悪くはなさそうだけど、頭が痛いのよね?」
「はい。ものすごくひどいわけではないですが、」
「それなら、ここで頭の痛みが引くまで横になっていなさい。」
「分かりました。ありがとうございます。」
「はい。お大事にね。」
 そして案内されたベッドに横になった。
 ・・・・・広瀬君と今日は話せそうにないな。
 少し広瀬君への罪悪感を抱えつつ、頭の痛みが引くのを待った。
 だけど、少しづつ痛くなってきたので、先に家に帰ることになった。
 顧問の先生の所に行き、詳しいことを話し家に向かって歩き出した。
 すごく情けなく思うし、広瀬君にも申し訳ないなと思った。
 そして家に着き、ベッドに横になった。
 私はそのまま寝てしまった。

「プルルルル・・・プルルルル・・・」
 そんな音がして目が覚めた。
 ふと部屋の時計を見ると午後七時半を回ったくらいだった。
 なっているスマホに目を移すと・・・
「広瀬君!?」
 そう、電話の相手は広瀬君だったのだ。
 広瀬君とはLAINを繋いでない。
 だけどスマホの画面を見る限りLAINの方で電話をかけているみたいだった。
 私はスマホとじっとにらめっこをしていた。
 すると急に静かになった。
「電話、切れた。」
 すると、今度はメッセージが
「ピロン、ピロン、ピロン・・・」
 と何通も来た。
 電話に出なかったこともあり少し、見るのが気まずかったので、わざとメッセージの来た十分後に既読を付けた。
「えっ、、九個・・・。」
 メッセージは九個も来ていた。
 文字をを見ると

【優笑、ボール頭にぶつけたんだって!?】

【大丈夫??】

【頭の痛み収まった?】

【俺のことは何も考えなくていいからね!】

【明日これそう?】

【無理してこなくていいからね!】

【しっかり休んでる?】

【たくさんLAIN送っちゃってごめん。】

【あと、LAIN勝手に登録したこと、許して!】

 というものだった。
 すごい・・・めっちゃ心配してくれてたんだ。
 私は、

【LAINのことは大丈夫だよ。】

【心配してくれてありがとう。】

【もう元気になったよ!】

 と三通で返した。
 すると、すぐに既読が付いた。
 ・・・と思ったらもう返信が来た。

【そっか、そしたらよかった。】

【でも、無理はしないでね!】

【また学校で!】

 そんな内容だった。

【うん。わかった。】

 そう簡単に返して、スマホを閉じた。
「”また学校で”か。」
 本当に広瀬君は良い人なんだな。
 そう思い、私はお風呂に入り夜ご飯は食べずまた私は眠りについた。

 次の日、頭の痛みは完全に消え元気になったので学校に向かった。
 教室に行くと、また今日も広瀬君は学校に来ていた。
 私が机にリュックを置いて準備をしていると、昨日のように私のところに歩いてきた。
 でも、今日は少し早歩きな気もする・・・。
 すると広瀬君は
「優笑!もう大丈夫なんだな!
 本当に良かった!」
 と教室に響くような声で話したので、一気にクラスのみんなの視線が集まった。
 すると一気にクラスがざわつき始め、
「優笑、昨日何かあったの?」
「いや、きっと空君に気を向けてほしくてわざと何かしただけでしょ。」
「あ、なるほどね。
 優笑やばー!」
 そんな声が聞こえた。
 すると、
「本当にひどい奴らだな。」
 と広瀬君はつぶやいた。
 でも私は
「ううん、いいよ。」
 といった。
 そして、
「うん。もう大丈夫。」
 と広瀬君に行った。
「そっか、そしたらまたどこかで一昨日の話聞かせてね。」
 といってまた自分の席に戻っていった。
 そうして、私は一人になった。
 だけど、まだ広瀬君に話していないのに味方がいるように感じて心強かった。
 
 そして放課後。
 今日は部活が休みだ。
 だから、帰りはまあまあ人がいる。
『広瀬君、どうするのかな。
 今日は話さないのかな・・・。』
 そう思いつつ、いつも通り家に帰ろうとした。
 すると・・・
「優笑、今日一緒に帰ろ?」
「え、あ、わかった!」
 そうして、私たちは一緒に帰ることになった。
 でも、会話が全くない。
 私は何か話さないとと思いつつも、何を話せばいいのか良いかわからず時間だけが過ぎていってしまう。
 横目で広瀬君を見てみた。
 でも、広瀬君は私と違って”何を話かを話さなければ”のように焦っていなく、そして広瀬君が何を考えているのかは心の中が読めるとかなんとかって言ってお金を稼いでる人もわからないような喜怒哀楽のどれでもない表情だった。
 すると急に広瀬君は私のほうを見た。
 正面から見た広瀬君の顔はさっきの喜怒哀楽のどれでもない表情ではなく、ものすごくきれいな笑い顔だった。
「ずっと俺のことみてるけど、どーしたの?」
 私はそれを聞いて顔の熱が上がっていくのを感じた。
 やばい・・・、いろいろ考えてて、つい見ちゃってた。
「あ・・・、えっと、何でもないよ!
 でも、ごめん。」
「え?なんで謝るの?
 謝るようなことしてないから大丈夫だよ!」
「そっか、」
 そしてまた沈黙が流れた。
 そろそろ広瀬君と通学路が変わってくるという場所まで来た。
『今日、何のために一緒に帰ったんだろ。
 あのことを話すためじゃなかったのかな。』
 私はついにそんなことを思ってしまった。
 でも、ここまで来て何も話さないなんて、どういう事?
 そう考え、頭がごちゃごちゃしてきそうになった私は耐えきれず
「ね、今日の帰りにあのこと話そうとしたんじゃないの?」
 と聞いた。
「あー、うん。ごめん。
 あのさ、沈黙流れて、なんて言いだせばいいかわかんなくなっちゃって、言い出せなかったんだ・・・。」
 なんか、私が攻めたみたいな感じになって不思議な感覚がした。
 広瀬君は
「ほんと、沈黙とか気にせずに言い出せばよかったよね。
 許してもらえる?ほんとにごめん。」
 と、架空の犬耳がシュンと垂れているように見えた。
「ううん、私のほうこそ話題をふれなくてごめん。
 今のことは広瀬君悪くないから、もう謝らないで、
 私のほうこそほんとにごめん。」
 今回はどっちも悪くない。
 私はそう思った。
 どうにかこの空気を変えようとして、
「それで、今話しちゃっていい?」
 と、次の話に進むようにした。
「うん、でもこんな感じの雰囲気で話せそう?
 大事な話なんだよね?」
 うっ・・・、それはそうかもしれない。
 だって、このままあんな重い話をしたらもっと暗い雰囲気になると思ったから。
 だけど今はなさないと、もう私自身が話せなくなるような出来事が起こっちゃう可能性もなくはないし、もう周りに人がいないときに話せるタイミングもそこまで多くないと思ったから、
「私は大丈夫!
 広瀬君が良ければいいからね!」
 と”大丈夫!”と強気な顔をできるだけして話した。
「そっか、
 俺も優笑が話せそうならいいよ。
 でも、こんなところで立って話したら疲れるし、知らない人も通るからちょっと気まずいでしょ?」
「まぁ、そうかもだけど・・・」
 ”どうしようっていうの?”
 という感じで広瀬君を見た。
 広瀬君は、
「まあ、こっち、ついてきて!」
 と何かあるような目でニヤッと笑って歩き始めた。
 ・・・・・・どこ行くんだろう。
 そうしてついていった。

 約二、三分歩いていくと
「ここ、入って!」
 とある場所を指さされた。
「・・・・・・、家?
 ってまさか、広瀬君の家!?」
「反応めっちゃ面白いね!
 そう、俺の家!」
 爆笑しながら私の問いに答えてくれた。
 え・・・、広瀬君、私を自分の家に入れようとしてるってこと!?
「鍵開けるから、入って!」
 私の予想は的中した。
 でも、人の家に入るなんて・・・。
 しかも、男子の!
 怖くて震えてくる。
 こんなの絶対―――――
「む、無理っ、」
 絞り出すような声で言った。
 でも、引き下がってはくれなかった。
「そんなの、ダメ。」
 といって。
 ・・・・・・だから、だから他人は、思考の読めない人は嫌いなんだ。
 なんて言ってくるかわかんないし、それによって思考が追い付かないし。
 私は、どう答えてどうしたら家に入らなくて済むか考えた。
「ね、ねぇ、あのさ公園のベンチとかじゃダメかな」
 広瀬君は考え込んでしまった。
 すると、
「まぁ、それも悪くないね。
 優笑がそこがいいなら俺も全然いいよ!」
 と言ってくれた。
 いつもみたいな笑顔を浮かべている広瀬君。
 ・・・でもどこか、心から笑っている感じではなかった。
 まるで、私のように作り笑いしているみたいに―――――。
 公園に移動するときは何も話さなかった。
 でも、さっきのように”何か話題を出さないと”みたいに慌てはしなかった。
 
 それが逆に、私にとっては違和感があった。
 これまでは沈黙が流れると怖かったから。
 だけど今は、話さないで、静かであってほしいように思うくらいで、いつもと違う気持ちになれていないからだと思った。
 そんな感じで何も話さないまま公園に着き、近くのベンチに座った。
 私はいつ話し始めればいいのかわからず、顔を広瀬君の方に向けると目が合った。
 すると”コクン”と広瀬君の首が縦に動いた。
 私の目はいつの間にか広瀬君の目に吸い込まれていた。
 その目からは
『優笑が話せそうなタイミングで話し始めて良いからね。俺は優笑が話し始めるまでずっと待ってるから。』
 ということが読み取れた。
 私は深呼吸を一度し、”シュミレーション通りしっかり話したいことを話そう。”と心で気合を入れて話し始めた。

「今から話し始めるね。」
「うん。ゆっくりでいいからね。」
「分かった。ありがとう。

 ―――――あのね、私小学校の時にすごく仲が良かったグループに、悪口を言われているところを聞いたことがあって、
それまでは、私はそのグループの子たちといろいろ遊んだりして来てて・・・
 グループの子たちはそうやって楽しく遊んでた時の笑顔とか言葉とかが全部作り物の、偽物だったってことを知っちゃって、
人は何考えてるか分からないから、その出来事のせいで周りの人も本当は私のことを悪く思っているのかもしれないと思い始めちゃったんだ。
 しかも広瀬君がこの学校に来る前少し前に、小学校の時私の悪口を言ってたグループの子が先生とか学年の子に”優笑がいじめてきた”なんていう、その子たちから避けるようにしている私がするはずもない嘘の情報を流してきたんだ。
 だけど、それが嘘のことなんて思ってもないみんなは束になって私のことを悪いモノ扱いしてきて、私はそれがものすごく怖くて仕方がなかった。
 そんな時に唯一信用していた歩ちゃんっていう女の子が私のことをかばってくれたんだ。
 そしたら今度はその子も私と一緒に悪いモノ扱いされちゃって、
 その時私、
『こんな大切な友達は私のせいですごくつらい目にあたんだ。
 私のせいで・・・』
 って後悔して、ものすごく自分を責めてた。
 そんなことが学校で起きている時に今度は家族の方から”女の子だから”とか”あなたのために・・・”とかって言って私のことを勝手に決めつけられてもう心がずたずたに引き裂かれたり押しつぶされたりして、もう私はどうしていけばいいか分からなくなってて、困ってたんだけど、どうにか友達を頑張って作ろうとしてたんだ。」

 話してたら我慢しようとしていた涙があふれてきてしまった。
 でも私は構わず話を進めた。

「だけど、どんな方法を使ってもうまくいかなくて。
 しかも私は、上手くいかないだけじゃなくって、頑張ってるのに昔のこととか相手の気持ちのこととかいろいろ考えて怖くなって逃げたりもしちゃって。
 そしたら急に頑張って変わろうとして張ってた糸が切れちゃって、無理にやるのは辞めようってなったんだ。
 そんな時に広瀬君が話しかけてきた。
 びっくりしたのもそうだけど、一番はやっぱりそうやって友達を無理に作らないって決めた後だったから頭の中がぐちゃぐちゃになって、朝の時は逃げちゃったし、帰りにまた話したときは、きつい言葉になっちゃったんだ。
 私の感情に巻き込んじゃってごめん。
 でも、最後の広瀬君の言葉がものすごく頭に残ってて、歩ちゃんにも相談して、広瀬君に相談することにしたんだ。
 広瀬君は今、話を聞いて私はどうすればいいと思う?」

 そう話し終えた。
 私は涙を手で拭いながら広瀬君を見た。