日曜日の午後に引越し屋さんが私の荷物を運んできてくれた。荷物が届くと聞いていたので、午後はアルバイトを休ませてもらっていた。

机、椅子、本箱とダンボール10個ほどの荷物だった。思っていたよりも多かった。おじさんは引越し屋さんに父の携帯の番号を教えて、都合を聞いて荷物を引取るように頼んでおいてくれた。そして届け先のここの住所は絶対に教えないように何度も念を押しておいてくれた。

私はダンボールを開けて整理を始める。おじさんはそれをそばで見ている。私の荷物に興味があるみたい。1個には教科書と本が入っていた。1個は食器、1個はぬいぐるみと雑貨が入っていた。衣類、高校の制服などで3個、あと1個には靴、スニーカーなど、アルバムが入っている箱もあった。

「未希の荷物はそれで全部か?」

「そう、全部を掻き集めてくれたみたい。衣類は母のものも入っています」

「とりあえず整理して、しまうところがないものはそこに積んでおいたらいい」

「少しずつ整理しますから、時間がかかります」

「未希に整理ダンスを買ってやろう」

「アルバイト代で買います」

「いいから、あとで近くの家具屋に行こう。安いものにするけど、段ボールだと出し入れがしにくいだろう」

「大丈夫です」

「遠慮するな、同居させるには家具も必要だ。積んでおかれると邪魔になるからな」

荷物の整理がひととおり終わると、おじさんはすぐに近くの家具屋へ連れて行って、小さな整理ダンスを買ってくれた。部屋に戻るとほどなく家具が運ばれて来た。

私の荷物は整理ダンス、机、本箱の中に大方収まって、ほとんど整理ができた。残りはダンボール一つに片付いた。

机と本箱は真ん中の部屋に、整理ダンスはベッドのある一番奥の部屋におじさんのものと並べて置かせてもらったけど、丁度高さが同じだった。それから私は本箱の教科書の整理を始めた。

「未希、学校はどうするつもりだ?」

「もう行かないつもりです」

「勉強はしたくないのか?」

「お勉強は嫌いではなかったけど、成績はあまり良くなかった。でももう無理だから」

「そうか、なんとかしてやりたいけど、いい考えが思い浮かばないな」

「もう諦めています」

「高校中退じゃあ、これから困るぞ」

「コンビニでアルバイトくらいはできますから」

「それでいいのか?」

私は頷いた。

「何とかならないものかな」

「私のことを心配してくれてありがとう」

今夜はおじさんの腕を掴んで眠った。いろいろと私のことを考えてくれて嬉しかったから、そうして感謝の気持ちを伝えたかった。おじさんはその手の上に手を置いた。それから私を腕の中にそっと抱いて寝てくれた。なんかいい感じで心が休まる。おじさんと寝ていて初めてそう思った。