「午前中だったら大丈夫だと思いますので、ご案内しますよアシノさん」
スミーが歩く後ろを5人はぞろぞろと付いていった。階段を登り、ギルド2階の立派な扉の前にたどり着くと、スミーはノックをして要件を伝える。
「マスター、アシノさんがお見えになられています」
「わかった、入ってこい」
しわがれた老人の声が扉の向こうからした。扉を開けると、老人だがガッシリとした体格の、貫禄ある人物が椅子に座っていた。
「昨日は家に帰ってこなかったな、どこへ行っていたんだ?」
「昨日は色々あってさ。そんな事よりじいちゃんまずい事が起きたんだ」
2人の会話を聞いてモモは不思議に思った、それを察してだろうアシノは軽く説明をする。
「あー、この街の冒険者ギルドのマスターって私のじいちゃんなんだ」
「そうだったんでずか!?」
「知りませんでした」
ムツヤとモモはビックリしてそんな声をだしたが、有名な話なので最初から知っていたユモトは特に驚きもしなかった。
「そっちの3人は、はじめましてかな。私はギルドマスターのトウヨウだ、ギルド内ではマスターと呼んでくれ」
「は、はじめましでムツヤ・バックカントリーです!」
「モモと申します」
「ヨーリィです」
思い思いに挨拶を交わしたのを見届けてアシノは本題に入ろうとする。
「じいちゃん、単刀直入に言うとまずい事が起きたんだ」
真面目な顔のアシノから何かを感じ取ったトウヨウも真剣な顔をした。
「どうやら長くなりそうだな。立ち話もなんだ、応接室で聞くことにする。スミー悪いがお茶を持ってきてくれ」
「かしこまりましたと」一言行ってスミーは部屋を出る。ムツヤ達はギルドマスターの部屋の隣にある応接室に通された。
高級そうなソファに1列に並ぶ5人。
そして机を挟んだ向こう側にトウヨウが座る、お茶を運んでくれたスミーにトウヨウは誰も応接室に近づけないように言って部屋から退出させた。
「それで、まずい事とは何だ?」
紅茶に少し口をつけた後トウヨウは聞く。アシノ以外は慣れない場で緊張しているのかそわそわしていた。
「今から話すことは全て事実だ。このムツヤは裏ダンジョンの近くで育った裏の住人だ。そして昨日その裏の道具をウートゴにいくつか盗まれた」
トウヨウはまるで信じられんと目を丸くしたが、アシノがわざわざそんな笑えない冗談を言うはずが無いことは分かっていた。
「ムツヤだったか、話を疑うわけでは無いが本当に裏世界の住人なのか?」
「えぇ、まぁ、そうみたいなんです」
ムツヤはまた自分の居た場所とこれまでの経緯を話す。昨日もアシノに話したばかりなので若干うんざりとしてしまうが仕方がない。
「なるほど、事情は分かった。キエーウに裏の世界の道具が渡ってしまった事は非常にまずいな」
紅茶をひと口飲んでトウヨウは話し始めた。そこでアシノは提案をする。
「ムツヤの武器や防具を分けてもらって討伐部隊を組むのはどうだ?」
とりあえずの提案に対してトウヨウは首を横に振った。
「いくら上級の冒険者と言えど、裏世界の道具を突然渡しても使いこなせるとは思えん。強すぎる道具は使用者も破滅させられてしまう」
1つ間をおいて更にトウヨウは問題点を指摘する。
「それに裏の道具を下手に持っていれば、次はその人間が襲われて道具を取り上げられる可能性が高い」
「確かに……」
アシノはトウヨウの言葉に納得をする。だが、もう1つ思うことがあった。
「ムツヤのカバンはどうする? ギルドの保管庫にでも隠すか?」
その案にもトウヨウは白い眉をひそめて渋い顔をする。
「それも俺は危険だと思う、ギルドに襲撃をかけられるか盗みに入られるかしたら終わりだ」
自分の提案を否定され続けてアシノは若干イラ立っていた、そこで逆に質問をした。
「じゃあじいちゃんはどうするのが1番安全だと思うんだ?」
ふぅーっと息を吐いて全員を見渡した後にトウヨウは話し始める。
「国に事情を話すのが1番手っ取り早いだろうが、その場合裏の道具を使って隣国と戦争…… いや、一方的な侵略が始まるだろうな」
確かにと皆は納得をしていたが、ムツヤだけ1人置いてけぼりを食らっていた。それを察してアシノが説明をしてやる。
「この国ギチットと隣国キラバーイは奴隷制度があった100年前ぐらいに戦争をしていた。今は国交もそこまで悪くなくなっているが今のギチットの国王が問題だ」
そこまで話し、アシノは一息入れて続けた。
スミーが歩く後ろを5人はぞろぞろと付いていった。階段を登り、ギルド2階の立派な扉の前にたどり着くと、スミーはノックをして要件を伝える。
「マスター、アシノさんがお見えになられています」
「わかった、入ってこい」
しわがれた老人の声が扉の向こうからした。扉を開けると、老人だがガッシリとした体格の、貫禄ある人物が椅子に座っていた。
「昨日は家に帰ってこなかったな、どこへ行っていたんだ?」
「昨日は色々あってさ。そんな事よりじいちゃんまずい事が起きたんだ」
2人の会話を聞いてモモは不思議に思った、それを察してだろうアシノは軽く説明をする。
「あー、この街の冒険者ギルドのマスターって私のじいちゃんなんだ」
「そうだったんでずか!?」
「知りませんでした」
ムツヤとモモはビックリしてそんな声をだしたが、有名な話なので最初から知っていたユモトは特に驚きもしなかった。
「そっちの3人は、はじめましてかな。私はギルドマスターのトウヨウだ、ギルド内ではマスターと呼んでくれ」
「は、はじめましでムツヤ・バックカントリーです!」
「モモと申します」
「ヨーリィです」
思い思いに挨拶を交わしたのを見届けてアシノは本題に入ろうとする。
「じいちゃん、単刀直入に言うとまずい事が起きたんだ」
真面目な顔のアシノから何かを感じ取ったトウヨウも真剣な顔をした。
「どうやら長くなりそうだな。立ち話もなんだ、応接室で聞くことにする。スミー悪いがお茶を持ってきてくれ」
「かしこまりましたと」一言行ってスミーは部屋を出る。ムツヤ達はギルドマスターの部屋の隣にある応接室に通された。
高級そうなソファに1列に並ぶ5人。
そして机を挟んだ向こう側にトウヨウが座る、お茶を運んでくれたスミーにトウヨウは誰も応接室に近づけないように言って部屋から退出させた。
「それで、まずい事とは何だ?」
紅茶に少し口をつけた後トウヨウは聞く。アシノ以外は慣れない場で緊張しているのかそわそわしていた。
「今から話すことは全て事実だ。このムツヤは裏ダンジョンの近くで育った裏の住人だ。そして昨日その裏の道具をウートゴにいくつか盗まれた」
トウヨウはまるで信じられんと目を丸くしたが、アシノがわざわざそんな笑えない冗談を言うはずが無いことは分かっていた。
「ムツヤだったか、話を疑うわけでは無いが本当に裏世界の住人なのか?」
「えぇ、まぁ、そうみたいなんです」
ムツヤはまた自分の居た場所とこれまでの経緯を話す。昨日もアシノに話したばかりなので若干うんざりとしてしまうが仕方がない。
「なるほど、事情は分かった。キエーウに裏の世界の道具が渡ってしまった事は非常にまずいな」
紅茶をひと口飲んでトウヨウは話し始めた。そこでアシノは提案をする。
「ムツヤの武器や防具を分けてもらって討伐部隊を組むのはどうだ?」
とりあえずの提案に対してトウヨウは首を横に振った。
「いくら上級の冒険者と言えど、裏世界の道具を突然渡しても使いこなせるとは思えん。強すぎる道具は使用者も破滅させられてしまう」
1つ間をおいて更にトウヨウは問題点を指摘する。
「それに裏の道具を下手に持っていれば、次はその人間が襲われて道具を取り上げられる可能性が高い」
「確かに……」
アシノはトウヨウの言葉に納得をする。だが、もう1つ思うことがあった。
「ムツヤのカバンはどうする? ギルドの保管庫にでも隠すか?」
その案にもトウヨウは白い眉をひそめて渋い顔をする。
「それも俺は危険だと思う、ギルドに襲撃をかけられるか盗みに入られるかしたら終わりだ」
自分の提案を否定され続けてアシノは若干イラ立っていた、そこで逆に質問をした。
「じゃあじいちゃんはどうするのが1番安全だと思うんだ?」
ふぅーっと息を吐いて全員を見渡した後にトウヨウは話し始める。
「国に事情を話すのが1番手っ取り早いだろうが、その場合裏の道具を使って隣国と戦争…… いや、一方的な侵略が始まるだろうな」
確かにと皆は納得をしていたが、ムツヤだけ1人置いてけぼりを食らっていた。それを察してアシノが説明をしてやる。
「この国ギチットと隣国キラバーイは奴隷制度があった100年前ぐらいに戦争をしていた。今は国交もそこまで悪くなくなっているが今のギチットの国王が問題だ」
そこまで話し、アシノは一息入れて続けた。