ガバッとベッドから飛び起きる。ベッドの柱が頬に当たって痛い。
荒い息を繰り返しているのは私。頬がじんじんと痛んでいるのも分かる。
「生きてる!良かったー!」
やけにリアルな夢でびっくりした。
あ、自己紹介が遅れました。私、増田和彩。高三です!高三だけど、一人暮らしをしています。最初は寂しかったけど、今は全然。自由になんでも出来るからいいなーって思う。
椅子に座ってコンビニで買った卵サンドウィッチの袋を破り思っ切りかぶりついた。
自炊はしないんですよね、私忙しいからそんな時間ないし、正直面倒だもん。
「行ってきます」
ガチャガチャと乱暴に鍵を閉めて学校に向かう。その途中で彼女に出会う。
「和彩、おはよう!」今朝見たリアルな夢にでてきた私の親友である杉本灯桜。
「どしたの?いつものような元気さがないがないけど」
「え?実はさ、私が死ぬ夢を見ちゃってさー」
「え?そんな縁起でもないこと言わないでよ」灯桜が出てきたことは言えない。言わない。灯桜があんなに苦しみに歪んだ顔はもう二度と見たくない。
「和彩?」
「なんでもないよ」
いつも通りの私。いつも明るい増田和彩を演じるんだ。じゃないと、心が苦しくなる。
「あの漫画が面白くてー」
「あ、それ私も知ってる!」
いつも通りの一日を過ごす。明るい増田和彩はもうクラスに定着している。良かった。
でも、ふとした時にあのときみたいな自分になりそうになる。思い出したくもないのに。