「喫煙所外で喫煙をしないという常識が、どうして未だに浸透出来ていないのかなァ――厚生労働大臣。このクソ野郎。
許可された場所以外で喫煙は法的に禁じていないのは何で?飲酒運転並みに罪深いって考えられへんわけ?あのさァ、肺がんや白内障の原因となる物質をまき散らす嗜好品が回ってることに何も思わんのか?あれも麻薬として扱わへんのはどういう違いなわけ?
ホントさぁ、お前らまで喫煙に対するモラルが糞溜めの底辺なんやな?上の人間が揃いもそろってこの体たらくやから受動喫煙が未だに横行してたんやろうが。まぁ俺が何もかも根絶するからもう終わるけどな」
「この国はロクに運転マナーがなってねーと思わなかったのか?お前を含む国土交通大臣さんらはさァ!?教習所はいったい何を教えてるわけ?車以外の通行者の通行は全て優先されるべき、絶対だってことを全然分かってねーカスばっかじゃねーか!あんな奴らに免許を与えるとかどうなってんのこの国の車免許の基準はよォ!?ああいうカスどもに車の運転なんか許すから事故がよく起きるんやろが!!
というわけで仕事以外で車を使う必要が無いと判断した俺は、自家用車を全て潰しました!
あとバイクの騒音も同然や!何が国土交通省や。ちっとも機能してやがらねぇ、カスだわお前らは」
「なぁ財務大臣さんよぉ?何で消費税なんか徴収してるわけ?しかも食品や薬とか生活に欠かせない物にも税をかけてるしさぁ。ンなもんを集めてまでこの国の運営には金が必要なん?全く良い方向に機能していないこの国に消費税なんか必要か?他の国の税制度を知らんのか?食い物と薬に税金かける時代は古いし終わってんだよっ!!」
などと、色んな大臣に向かって俺が昔から抱いていた日本の様々な不満と忌むべき風習を挙げては詰るを繰り返す。皆一丁前に反論してきたが、どれもくだらない理屈だったので黙らせた。
「まぁ何よりも、こんな日本を許してしまっているこの国のトップには、ガッカリさせられたわホンマ。なぁ、現内閣総理大臣さん?」
「.........」
青い顔で俯いたままでいる総理に話を振る。アイツは俺が死んだ当時の総理大臣と同じ家系の人間だそうだ。阿部だか阿武だか忘れたが...。そのアベ…何とかの名前の総理が反論をぶつける。
「世の中が、誰にとって良いものだと思うなよ...。私やここにいる彼らを含む世の中の人間誰もが、お前みたいに理不尽を経験したり輪から外されることだってある。その度に辛く思ったり嫌になったり、時には死にたくなることだってある。
だがそれでもどこかで皆は折り合いをつけて生きていく!皆がやっている、出来ているからこそこの世の中だ!
お前のそれはただの逃げだ...!何でも人のせいにしているだけだ!その幼稚な思考が却ってお前自身を苦しめていることが分からないのか!?」
何を言うのかと思えば、またそれっぽい言葉。
「ハァ...“皆同じ思いをしているから”“皆がやってることだ”“皆だって辛くて嫌なんだ、だから一緒に我慢して頑張ろう”
要はそうやって“全”を引き合いに出して、“個”を軽んじて疎かにしてどうでもいいと切り捨てている。俺にはどうしてもそういう解釈としか捉えられないんやけど?何が皆や......そんなことだからいつまで経ってもこの国はマシにならねーんだろが」
「だから――」
総理が激昂しかかったその時、「だが……」と遮って続きを言う。
「まぁそもそも人間である奴が、同じ人間どもを完璧に制御すること自体が無理やったんや。お前らを責めても仕方ないってな...んなのは分かってるっちゅーねん」
俺のいきなりの手のひら返し発言に全員が顔を向ける。
「だからこれからは...俺がこの国を運営することにするっ!お前らを感情の無い傀儡に改造して俺の意のままに動かす...これこそが俺流の日本改造や。面白くなってきたな~~!」
「「「「「な...!?」」」」」
俺の宣言を聞いた大臣どもは完全に呆気に取られていた。だがすぐにふざけるなだの、許されないだの、勝手にも度が過ぎているだの、非難ごうごうだ。
「あのな、コレもう決めたから。お前ら大臣どもや国民どもの意見とか知らねーから。俺の味方がいないこんな世の中どうなろうがもう知るか。
俺が楽しく幸せでさえいればもうしれでオーケーなの。だからお前らはもうええよ?いなくなって...さぁ――改造開始っ!!!」
そしてこの日、日本のトップが変わった――。
外見はそのままだが、中身は全て杉山友聖の意思となり、彼の思うがままに政治を進めた。
杉山友聖が理想とする日本が完成したのは、この日から約1ヵ月後であった――
*
国のトップどもを俺の傀儡にした次は、粛清し損ねている残ったゴミクズどもの完全根絶の作業に入った。
俺の検索魔術は全てを教えてくれる。誰が俺にとってこの国に不要で害にしかならないゴミクズなのかを。例えば...俺が蛇蝎《だかつ》の如く嫌悪している例の人種どもと、その人種になり得る予備軍ども。予防措置として早々に消さなければやな。
あとは......やっぱり虐めをしているクズどもとかもやな。正義感に目覚めたわけやないけどやっぱ不快やしな。ああいう奴らを消すとするか!
「――というわけでまた放送中に失礼しまーす!この国には俺にとって害となる人種が多過ぎるので、この後俺は消すべき人間どもを、赤いレーザーで一掃します!
安心してええで。何も無差別に殺すわけやないから、誤射することは無いから。俺がこの国に不必要やって断定した奴しか狙わへんから。今日はこのことを言いに来ただけや。
ああ逃げても無駄やからな?俺からは絶対に逃げられへん。まぁそのことはお前らがよく分かってるはずやろうから、諦めろ。今回俺に殺されることになってるクズどもは、自分のクソッタレな行いをしっかり顧みて来世に生まれ変われや。
んじゃ、これより...“選別”を開始しまーす」
宣言を終えると同時にスタジオから出て行き上空へ飛ぶ。両手から赤い魔力の塊を出現させる。中には濃密の魔力が詰まっている。ここから何万、何十万、何百万もの殺人レーザーが飛び出していって俺が要らないと思う日本人を殺してくれる。
さぁいよいよ仕上げや...!3・2・1とカウントした後、俺は一気にレーザーを放った!!