翌日、俺は本格的に「粛清活動」を行い、日本の改造に努めることにした。
 昨日市内で行った数百人の虐殺ですらも、単なる挨拶運動に過ぎない。
 俺、杉山友聖が何を嫌悪しているのかの宣伝と、嫌悪しているそいつらを簡単に殺せるという事実を宣伝も兼ねた見せしめだ。

 今の俺にはたった1時間くらいで数万もの人を殺せる力がある。俺がもの凄く強いチートであることよりも、こっちの世界の人間が弱過ぎることが理由かもな。
 異世界の人間みたいに魔王軍と戦ったりもしないのだから、弱くて当然。手間取ることなくすぐに殺せる。

 で、今日は何をするかというと...


 「紙巻タバコを生産しているこのクソ会社を潰しに来ましたー!では早速、みんなさようなら」

 そもそも、路上喫煙だったり歩きタバコだったりしたクズどもよりも先に消すべき奴らがいることを失念していた。
 こんな健康を大いに損ねるよな嗜好品なんかを作ってる大元さえ消えて無くなれば、ヤニカスがこれ以上現れることもなくなるんじゃないか。
 だから生産会社《根本》を絶つことにした!

 ああ?暴論やと?知るかよ!じゃあお前らは受動喫煙を根絶できるんですか?できねーだろ?何故ならこの日本は、タバコをも経済を支える要素として扱っているという体たらくやからな。そんなものを消してしまったら国の景気が悪くなる、税金も激減する。だから昔も今もタバコ生産は廃れてないでいるんや。

 だが俺にとってそんなこと知らん、どうでもいいことだ。そういう姿勢が“個”を疎かにしているって言うんじゃクソが。それのせいで生前の俺は体を壊したことがあったんやからな。
 俺にとってはタバコなど消すべき忌まわしき愚物や。ここで完全に消し去ろうではないか!!
 

 「さ~~~~あっ!!どんどん消えろ!!タバコ生産してるカスどもは皆消えろ!!タバコなんかこの世から滅べぇ!!!」


 大阪府内のタバコおよびその生産会社と生産者どもを全て葬った後は、そのまま勢いを絶やさずに全国すべてのタバコを消去した。

 「よっし!これでこの国の空気は少しは良くなったやろ。タバコに利なんか一切無い。あったとしてもそれはただの麻薬効果と変わらん、そんなものは滅ぶべきや!」


 タバコは消えた...が勿論ここで終わりにはしない。ほらまたうるさい音を出して通過するバイクがいるわクソが!

 ドゴォン!(バイクを破壊)「さて、次は...乗り物を減らすとしようか」

 騒音を出す乗り物は要らないはずだ。というか、俺は「瞬間移動」やチャリがあるからマジで乗り物は要らん。けど全部消しちゃったら、物の流通が一気に不便になり、生活の利便性に支障が出ることに。

 だから先に消すのは――


 「この国にある全ての自家用車とバイク、スポーツカーを消しまーすっ!!!」

 直後、俺の全身から幾千万ものレーザーが発射されて、バラバラに飛んで行った。すると早速近くの住宅街から爆破音が聞こえた。車やバイクが破壊されたようやな。数秒後、遠くからも爆破音が聞こえた。
 十分程経った頃、検索魔術で国内の様子を見てみると、目論見通り国内の自家用車と大きな音を出すバイクと爆音を出すスポーツ(レーシング)カーなど、電車や新幹線、飛行機やトラックなど生活や社会に必要なものを除く全てのうるさい乗り物をこの世から消してやった。

 これで騒音は勿論、マナーを守らないクソ運転手どもをも消すことにも成功した。
 

 「よしっ!この国の風通しがさらに良くなった!身近にある健康を損ねる物質の根絶に騒音の素の消滅、さらには安全で煩わされない横断歩道の実現!いや~~~ますます俺にとって住みやすい国に近づいてきた!」

 この後、全国のバイクやスポーツカーなど比較的うるさい音を出す乗り物の製造会社を全て破壊、製造者を殲滅した。これでああいう不快でうるさい乗り物が増えることは無くなった。
 だが人間は、これまで無から色んな物を創ってきた。“記憶”さえあれば、たとえ生産者と製造者どもを絶滅したってまたそれらを創り出す輩が出てくるに違いない。


 「――と、いうわけで!煙草や必要以上の大きな音を出す乗り物といった、害悪をこれ以上つくることがないよう、この場を借りてお前らに脅迫しようという所存でしてっ!」

 そこで俺は大胆にも、視聴率が高いワイドショー番組をジャックして、カメラの前でそう宣言してやった。
 ここからが本格的な日本改造計画の実行だ!

 「初めまして~。俺は杉山友聖って者です。大阪府大阪市に住んでます...はい、自己紹介は以上。で、この人気ワイドショー番組をジャックしてまでこんなことをした理由やけど、まずはコレをご覧下さーい」

 そう言って俺はノートパソコンを起動してとあるビデオを再生したそこには先日俺が実行した“粛清”の様子が映っていた。


 「「「「「な...!?」」」」」


 収録現場にいる奴らが全員息を呑む様子を一瞥してから再びお話をする。

 「これは特撮でもCGでも無い...本物や。何なら現場に行ってみたらええよ、面白いモンが残ってると思うから。
 というかお前らもコレが嘘やないってこと察してるやろ?最近、身近で突然何人か殺されるという事件が起きてへんかったか?アレも全部俺がやったんや。要するに俺には人を簡単に殺す力があるゆーわけや。それも軍隊よこしても一瞬で返り討ちにできる武力が、や。
 そんな俺が要求することはな?まずタバコの生産をしないこと。車会社は自家用車の製造を今すぐ止めること。俺は何でも知ることができるからな、隠れて生産・製造しても無駄や。もし造ってたら今の映像通りに消しに来るからな...!」

 最後にドスを利かせた口調で脅して、俺はテレビ局から出て行った。その後も、色んな人気番組をジャックして同じ文句をカメラの前で言って回った。これで全国民に俺の存在と俺の要求が伝わっただろう。これでもし要求通りにしなかった場合は......武力を行使せんとなァ...!





 「―――猶予など与えている場合ではない。《《アレ》》をたった一人でやったことが事実である限りは...!」

 首相官邸にある会議室。現内閣総理大臣は厳かにそう告げる。会議室に同席しているのは防衛大臣、警視総監、警察庁長官、自衛隊の各幕僚長など限られた者のみである。

 「内閣総理大臣のもと命じます。件の賊の排除を速やかに。その際に要する手段は問いません。国が有する全ての戦力を投入することを許可します。
 そして賊をその場で葬ることも...許可します!」

 建国史上初となる、たった一人の人間に対する軍隊の投入。その馬鹿げた決定に異論を出す者が一人もいない事態も異常であった。彼らとて、あの映像と実際の現場を目にしなければ、こんな決定を受け入れはしなかったであろう。
 現内閣総理大臣は歴代総理の中でも危機意識が高いことで有名だった。だからこそ今回の対処は当然と言えば当然であった。

 そして国は、たった一人の青年に牙を向けるのであった―――。