昼休憩が終わる頃には頭痛はおさまり、授業に出席できた。
「…はい。これで授業は終わりです。復習しておいてください。」
よし。あとは帰るだけだと思っていた。
「あんた。」
「?」
「あんたよあんた。水無瀬ゆう。」
「何ですか。明石さん。」
「目障りなのよ!」
は?なにいってんだこいつは。僕は至って普通の陰キャじゃないか。
「なぜそんなこと言うんですか。一体僕がなにしたんですか?」
「なぜって?そんなの決まってるじゃない。」
「幼馴染みという理由でしょう様につきまとって。しょう様は学園のアイドルなのよ。あんたみたいな陰キャ相手してる場合じゃないの。」
「そんなことですか。」
「そんなことってなによ!私怒ったわ!お前なんてびしょ濡れになってしまえ!」
バシャッ
「ざまみろ。水無瀬。大口叩いた結果よ!」
なんだよ。かってに恨まれて、水ぶっかけられて。何様だよ。
「なによその顔。いっちょまえにキれてんの?」
「だってそうでしょうが。急に怒られて水かけられて、怒らないやついますか?」
「ほんとに気にくわないわ。殴っていいかしら。いいえ殴るわぜったいに。」
やばい。殴られる!
「やめろ明石。」
「しょう様…!」
「帰るぞ。ゆう。」
僕はしょうに引っ張られて帰っていった。

「なにしに来たの?」
「ゆうが珍しく下校が遅いから心配して見に来たんだ。」
「ゆう。」
「なに?」
「びしょ濡れじゃないか。俺の上着着てろ。」
「うん…。」
帰るときいろいろ聞かれた。けれど僕は、たまたま水がかかったと嘘をついた。しょうは心配してたけど、真実は伝えてない。
「はあー。」
家につき、ベッドに寝っ転がった。
僕のせいで迷惑をかけてしまって、申し訳なかった。
その日、モヤモヤしたまま寝た。