しっかり疑問を解いて、また仲良くしようって、言うはずだった。
__言うはずだったのに、
朝、学校に行く前、待ち合わせ場所に二人はいなかった。冷や汗が止まらない。何か嫌な事がおきる、そんな予感がした。
学校に着いて下駄箱のロッカーを開ける。上履きが、無かった。
目の前の時が止まった気がした。
先週までの記憶が全て逆再生で流れているような感覚だった。
これはまずい。
私はすぐに裸足で階段を駆け上がり、教室の扉をガラッと開ける。
こちらを向いているクラスの人達は以前と何も変わらずに優しい視線で見つめてくる。ただ、一部のところは私のことをキッと睨みつける。その中には、泣いている美玲がいた。
話がしたい。ただそれだけなのに、それは叶いそうにない。どうして自分がこんなにも冷静なのかも、自分では分からない。けど、前にも同じことがあった気がした。弁解も何も出来ない。ただただ自分が悪者にされる。
友達を武器にして、根も葉もないことを言われる__
私は1度味わったからかは分からないけど、冷静に考えて、すぐに話し合った方がいい、と考えた。長引けば長引くほど、また仲良くなれる確率は下がる。
冷静に、冷静に、
「美玲。」
返答は、ない。
もう一度、問いかけても、返ってこない。
すると周りの女子がこちらにやってきた。
....まるで、私たちの仲を引き裂くように。
「小野さん、何軽々しく美玲に話しかけてんの?」
胸が張り裂けそうになった。涼花に、まるで他人のように呼ばれたことに。刺されたような感覚で、息ができなかった。
「...二人と話がしたいの。」
「何言ってんの?話すことなんてないよ?」
「私は話すことがある。」
「よくそんなのうのうとしてられるよねw私なら耐えられないwwwwww」
「みんなどうしちゃったの?!なんでそんなに私を避けるの?!」
「なんでって、柚が遊びに行ってもスマホとかばっかで、ちょっとは考えてくれるかなって思って、柚のためにやったんだよ?」
涼花の声が、頭を通り抜ける。上手く聞こえない、目の前が霞んで見える。
ただただ、悔しかった。気にしてたなら言ってくれればよかった。
スマホはお母さんが連絡してこないか常に確認してるだけ。
スマホばっかりいじらないでって、理由を聞いて欲しかった。
どうしてスマホを見るのって。話もしないで、どうしてそんなことするの。
怒りが湧いてきた。
そこからの記憶は、あまりない。
覚えているのは、声を荒らげて叫んでいる自分と涼花。それを止めようとする周りの子達。
私だって、言いたいことも沢山あった。喧嘩をした時の口調とか、何かとすぐに文句つけて来るところとか、喧嘩をしたらすぐに周りに知らせて味方を作るところとか、自分が気に食わないとすぐに怒るところとか、自分が良かったら周りはどうでもいいとか
言いたいことが、沢山あった。
でも、私は我慢したの。
所詮モブの私が、なにか言っていいわけがないって。
変なところで躊躇った自分のせいなのかな、また。あぁ、目の前が霞んで見えない。
倒れちゃったみたいだ。