二年特進コースの教室。明日香は一番後ろの窓際の席で、いつもひとりぼっち。
 休憩時間もひとりで読書。ボランティアのグッズを作っていることもある。
 セミロングの髪に銀縁の眼鏡。眼鏡の奥の切れ長の目が、誰に対してもやさしく向けられる。
 小柄な身体にはブレザーが少しブカブカだが、細く白い脚は大理石のように艶やかに輝き、よく見れば魅力的な少女のはず。
 性格だって真面目で優しく親切なのに。
 成績だって学年上位なのに。
 クラスの人気者になるには、もっと積極的でなければいけないようだ。無口な明日香について、男子はもちろん、女子も全く関心を持たなかった。
 朝、学校前でゴミ拾いをしていることについては、

「内申点を上げたいんじゃない」
「結構ずる賢い。陰キャラにピッタリ」

 なんて言われよう。クラスメイトの嘲笑と反感しか、かっていなかった。
 母子家庭で、身の回りのもの全て百均やリサイクルショップにお世話になっていることも、ディスられるにはピッタリの話題だ。
 「地味」「陰キャラ」「ぼっち」。そしてクラスカーストの最下層。
 それがクラスで定着した明日香のキャラ。