どこにいても、何をしていても、いつもどこか息苦しい――こんな自分のことが大嫌いだ。夜が近い黄昏時、明かりもつけず、家で一人カップ麺を啜っているとこんなことばかり考えてしまう。
 寂しさ紛れにテレビをつけ、堅苦しいニュースを聞き流しながら黙々と食事をとっていると、しばらくして玄関からガチャッと音が聴こえた。あ、今日は早いな。すぐにカーテンを閉め、電気をつける。


「お帰り、お母さん」

「あぁ、沙弥(さや)。ただいま」


 お母さんはそう言うとスーパーの買い物袋を台所にどしっ置いた。それからいつものように申し訳なさそうにこう言った。


「ごめんね沙弥。お母さん、明日帰り遅くなりそうだから、適当に何か作って食べといてね」

「うん。わかった」


 別に謝らなくても大丈夫なのにな。私は「ごちそうさまでした」と言い、そのまま自室に向かう。


 換気のため窓を開けると、心地良い夜風が部屋の中を循環した。夏にさしかかって来てはいるが、まだ夜は少しひんやりしている。
 
 しばらくして私は机に向かい、教科書を広げ、リュックからメロンパンを取り出した。さすがにカップ麺だけではお腹がすくと思い、コンビニで半額になっていたパンを学校帰りに買っていたのだ。


 袋を開けるとき、ふと、最後に家族揃ってご飯を食べたのはいつだっけ、と思った。久しぶりに家族で何か美味しいものでも食べたいな。
 
 でも、お父さんは単身赴任で帰ってこないし、お母さんはパートで忙しい。今では一人にだいぶ慣れたけど、時々少し寂しくなる。これも生活が厳しいのだから仕方がない。だから、私がバイトをすれば少しはよくなるはずなのに、お母さんは、

「沙弥が勉強頑張ってるなら、お母さんはそれを応援したいの」

と言って、私がバイトをすることをなかなか譲らない。

 だから、私が今できることは、たくさん勉強して、良い成績を収めて、両親を安心させてあげることだけだ。それから、将来は良い仕事について、両親に、もうそんなにたくさん働かなくてもいいよって言ってあげたい。


 よし、頑張るぞ。換気をして頭がリフレッシュしてきたところで、私はメロンパンを頬張りながら教科書を読み込む。賞味期限間近の半額メロンパンはやはり少しパサパサとしていて、あまり食べた心地がしなかった。