仕事から開放された私は、家へ向かっている。神社を通りかかっていた時、黒ずくめの女性が何やら険しい表情で白い物体を捨てていくのが見えた。彼女が離れていくのを見送った後、白い物体に近づいてみた。パソコンなようだ。機種は7年弱くらい前って感じがする。他人が捨てたものに特に抵抗を感じなかったため私はそれを持ち帰ってみることにした。最近会社の中でウェブ小説投稿サイトが話題になっている。社員との話を合わせるためウェブ小説投稿サイトに投稿したいと考えていた。執筆の時間を重ねるうちに、いつしか社員との話を合わせるために始めたウェブ小説投稿の存在は私にとって仕事で疲れた心身を癒やしてくれる存在になっていた。朝の7時から電車で通勤して夜の9時に家に帰ってきた後の1時間は執筆の時間と決まったルーティンになっていた。自分が時間をかけて投稿した小説を色々な人に読んでもらえるということがとても嬉しかった。