リビングか咲楽の部屋に案内されると思っていたが、今いる部屋の扉にはローマ字で『咲樹』と書かれていた。
「早速ですが、自己紹介をさせていただきます。咲楽の双子の姉の雨露咲樹(あまつゆさき)、国立女子大学付属高校に通う一年生です。あなたの名前を聞いてもいいですか?」
女子大付属…ってすごいお嬢様校じゃん!
「あ、えと、咲楽のクラスメイトで多分、友達の天野柚鶴です。知っての通り、県立東高校に通う一年生です。今日は咲楽に会いにここに来ました。」
同い年のはずなのに格上の存在に感じてしまう…。
「さて、堅苦しい挨拶はやめにして、天野さんにいくつか聞きたいことがあります。まず一つ目、咲楽は自分のことについてどれくらい話していますか?」
 僕は正直に咲楽が教えてくれた虐待のこと、いじめのこと、病気のこと…
すべて包み隠さず咲樹に教えた。
「そうですか。そこまで話すということはあなたを相当信用しているようですね。じゃあ、最後の質問です。あなたは、咲楽のことが好きですか?」
好き…、今まで考えたことすらなかった。僕の近くに当たり前にいて、僕の運命を変えて、それ以外の人なんてどうでもよく思えて、ずっと一緒だったらいいのにって咲楽が絶対に傷つくとわかっててもそんなことを願ってしまう自分がいる。