気が付いた時には僕はベットの上だった。
外を見ると昨日は青い空に顔を出していた太陽が見えなくて、灰色の空が僕が咲楽と会うことを否定しているように見える。
 でもそんなの他人が言っているだけで僕自身は会いたいと思っている。そう思うなら会いに行かなきゃいけない。
それからというもの、僕と咲楽の奇妙な鬼ごっこが始まった。
 全員から忌み嫌われているような存在の咲楽を追いかける僕にかまうような人は一人もいなくて、でも、そんなの気にせずに毎日、毎日、毎日…
咲楽が根負けした6月29日まで、僕は咲楽が家に着くまでずっと無視し続けられても話しかけていた。
 咲楽が入学式ぶりに口を開いてくれたのは咲楽と初めて出会った公園だった。
「君が性懲りのなく私にかまうことはよくわかったけどなんで?なんで私にかまうの?」
そう言った咲楽の口は震えていた。
「だって、君が僕に話しかけてくれたから。僕は君のことを知りたいと思ったから。」
僕の言ったことを理解できないのか目を見開いて固まっていた。
 しばらくして口を開いた咲楽は驚くほどあっさりと自分のことについて話し出した。…まるですべてを放棄したかのように。