……えっ…………好き?


ポカーンと口を開ける私とは対象的に真面目な顔をする織田くん。

(あ、好きってもしかして友達として?)


それなら《私も》と答えた方が良いのだろうか?

私の好きは友達って意味じゃないけれど。

迷いながらペンを取ると、


「あ、先に言うとくけど、友達とちゃうで。付き合いたいって意味の好きやから」

織田くんがそう口にした。

付き合いたいって意味の好き……。

「なんで急に?って顔やな」と笑う織田くんに私はゆっくりと頷いた。


だって、織田くんの告白はあまりにも突然だったから。


「別に急ちゃうで。実は途中から飴ちゃんは自分で用意しててん。狩野ちゃんに会う口実が欲しかったから」

(えっ、いつもくれてた飴って織田くんが用意してたの?)

「俺は前から保健室以外でも狩野ちゃんに会いたいなと思ってて、学食もほんまは一緒に行く?って誘いたかった」

(学食……お好み焼きの話をしたときだ)


「せやけど、狩野ちゃんは保健室でやから会ってくれるんかもと思ったら、なかなか言い出されへんかってん。この時間が好きやったから」


それは私も同じ。

この時間が大切だったから、想いは伝えない。そう決めていた。

初めて知る織田くんの想いに胸がぎゅっと締め付けられる。


「ずっとこのままこの時間を大切にするのもいいなと思ってたけど、狩野ちゃんがミヤ達に会いに行ったって聞いて、俺焦ったんかも」

「この時間がずっと続くとは限らんなって。狩野ちゃんはいつか、俺じゃない人を待つかも知れん。そうなったら嫌やなって」

私が織田くん以外の誰かを待つ?

そんなのありえない。