「体調はもう大丈夫。てか、先生が職員会議でおらんのはわかったけど、なんでミヤと幸太郎!?会ったん?」

織田くんはさっき以上に驚く。

顔色も良いし、元気そう。


《昼休みに織田くんが来なかったから、どうしてるのかなと思って聞きに行ったの》

「うわ、ごめん。伝言頼めば良かったな。あいつら余計なこと言わんかった?」

《大丈夫!余計なこと……?何も》

《あっ、ミヤくんが織田くんはかっこつけだって》

私はメモを見せながら笑ってみた。

織田くんなら「誰がかっこつけや」そうツッコんでくると思って。

だけど、そのメモを見た織田くんは黙り込む。


(あれ?触れちゃだめな話題だった?)


慌ててフォローの言葉を書こうとすると、織田くんが話し始めた。

「かっこつけるっていうか、狩野ちゃんに心配かけたくなくて。って、それがかっこつけなんかな?」


《私は織田くんがしんどい時は言ってほしいし、心配したいよ?》

もしかしたら、男の子はそういう姿を人には見せたくないのかもしれないけれど。

「ほんまに?」

織田くんはそう言ったあと、疑いの眼差しを向ける。




《うん。織田くんのことは何でも知りたい》

「何でも?」

《何でも!!》

だって、織田くんのことが好きだから。


「じゃあ、俺が狩野ちゃんのことどう思ってるかも?」

……ん?

織田くんが私をどう思ってるか?

どうして、急にそんなことを言い出したのだろう。

はっ……!まさかまた、私が面白いかどうかの話?

(織田くんの中の私=面白くはない)

さっき私がかっこつけてるって話をしたから、その仕返しだ。


そう思ったけれど私は《知りたい》と返す。

その気持ちは本当だから。

私が面白くないことなんて、百も承知だし。

だけど、織田くんから出た言葉は意外なものだった。

「俺は狩野ちゃんのこと、好きやと思ってるよ」